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2020年7月22日

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の経緯(6月1日〜20日分)を「追稿5」としてまとめた「シグナル交通安全雑記/第140回」を公開しました。

2020年6月24日

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の経緯(5月1日〜31日分)を「追稿4」としてまとめた「シグナル交通安全雑記/第139回」を公開しました。

2020年5月29日

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の経緯に4月20日〜30日の出来事を「追稿3」として加えた「シグナル交通安全雑記/第138回」を公開しました。

2020年5月29日

ドライバーを処罰する道路交通法の罰則における「刑罰」や「過失規定」、「両罰規定」などについて解説した「交通安全コラム/第27回」を公開しました。

2020年5月22日

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の経緯(4月1日〜20日)をまとめた「シグナル交通安全雑記/第138回」を公開しました。

2020年5月12日

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の経緯に2月末〜3月末の出来事を「追稿1」として加えた「シグナル交通安全雑記/第137回」を公開しました。

2020年4月24日

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の経緯を時系列で整理・記録した「シグナル交通安全雑記/第137回」を公開しました。

2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、「交通安全時評」内でお読みいただけます。

更新日:2020年8月11日

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交通安全時評

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安全運転管理 あれこれ記 その165 俯瞰的な発想
交通リスクコンサルタント 小林 實

宇宙人の視察

 ずいぶんと前のことですが、あるシンポジウムで井口雅一さん(現東大名誉教授)がこんな話をされました。それは、ある日、宇宙人がUFOに乗って日本へ偵察にきたという話なのですが、あまり地上に近づくと危険だということで、数千メートルの高さからつぶさに観察したそうです。
 宇宙人たちの観察結果は、結構期待はずれだったようです。というのも、人間たちはお尻からモクモクと黒い煙を出し、走ったと思ったら止まる…を繰り返してばかりいて、ちっとも前に進まないからです。つまり、車そのものを日本人ととらえたわけですが、これは、かつての排ガスによる大気汚染と渋滞を皮肉ったものでもあり、日本は経済大国なんていっているが、この程度なら近い将来、地球征服もできるだろう―という確信をもって宇宙へ帰っていったそうです。
 そういえば最近、日本でUFOが頻繁に観測されているという報告もあり、オリンピックの騒ぎが宇宙にも届いているのかもしれません。今の日本を彼らがもう一度見たとしたら、一見当時の日本よりも見かけは良くなった感じだが、少しデータを分析してみると、AI(人工知能)に支配されて人間性を失った日本に魅力を失って、また宇宙に舞い戻ることになるのでしょうか。

ドローンの利点

 今の宇宙人の観察の話ではないのですが、最近の「ドローン」にしても、高いところから情報を得るという点では似ています。ドローンとは、広くは自律飛行が可能な小型の無人航空機を指し、英語ではUAV(Unmanned Aerial Vehicle)というようですが、もともとは、軍事用の標的になる飛行体を「ターゲット・ドローン」と呼んだことに由来しています。新型コロナウイルスの感染が拡がる中国では、ドローンを使ってマスクをしていない人を見つけ、自宅へ戻るまで追跡誘導する―といったことにまで活用されているようです。
 こうしたドローンの利点というのは、ものを三次元の世界で俯瞰できるということです。よく「物事を俯瞰せよ」と言うのは、物事を広くとらえるという意味です。また、「鳥瞰図」とは地図の技法の一つで、鳥の目線で上空から斜めに見下ろした形で物を描く手法であり、高いところから見下ろす「俯瞰」と同じ意味です。

見えないところを見通す

 ところで、前方の視界が悪い場合、例えば交差点で右折専用レーンに止まったとき、前方にトラックがいるため、交差点の様子が見えない…といった経験は多くの方がされているでしょう。先を急いでいたり、待たされてイライラしたりしていると、右折を始めた前のトラックに連なって自分も右折しがちですが、実はもう信号が赤に変わっていて、交差する道路から発進してきた車と危うくぶつかりそうになることがあります。
 これは、いわゆる「金魚のフン」状態で、ぞろぞろつながって行動する一種の「同調行動」に当たります。前の車が進んだのだから当然ともいえる行動ですが、仮に前のトラックが先頭車ではなく、青矢印信号の現示時間も短い場合には、トラックが右折するときにはもう黄色信号に変わっているかもしれません。となれば、交差道路の車も、青信号を見越して発進してくる可能性も十分あるでしょう。
 かつて、教習の一つの段階で「俯瞰学習」というものがありました。これは、前の状況を俯瞰的に見る、ミクロではなく巨視的な目で物を捉える一つの学習方法ですが、見えないところを見通すという、ある意味で安全運転の有効な手法でした。

正常性のバイアス

 こうした前方の見通しがきかない場合のドライバーの心理状況を考えますと、いわゆる「正常性のバイアス」が生じているはずです。これは認知バイアスの一つで、これにより、異常な状況であるにもかかわらず、それが正常の範囲内にあるのだと理解してしまうわけです。
 例えば、過去に何度かこのような場面を乗り越えたが、何も起きなかった、だから大丈夫だ―とか、腕の悪いドライバーが事故に遭うのであって自分には関係ない―というように、自分に有利な判断というか、ゆがんだ受け止め方をしがちで、これは、大きな地震で津波がきても、自分だけは大丈夫だと思う「自己別在の心理」とよく似ています。
 このような場合に、ドローンの視点ではありませんが、先を見通すような能力といいますか、そういった気持ちで自分の行動を抑制することができればいいのではないでしょうか。認知心理学者の海保博之さんは、著書の中で「認知バイアスは不安全行動を引き起こす要因の一つであるけれども、それに対する積極的な対策というものはなく、現時点では個々の人々の意識改革を促すことが大切だ」と強調され、そして、自己の意思決定に際しては、もっと敏感になるべきだとも言われています。(海保博之著「安全・安心の心理学」)

想像力の退化

 運転環境の中で、視界が十分でない場面は結構あると思います。将来的には、例えば、ドローンのように俯瞰して状況が確認できる装置が車に搭載されるかもしれません。しかしながら、今のところ、少なくとも見えないところを俯瞰して潜在的な危険を察知する―といったドライバーのセンスといいますか、「かも知れない意識」を常に持って運転する必要がありましょう。
 近年、本来日本人が持っていた脳内AR(拡張現実)、つまり、想像力であるとか空想力というものが退化してきているのではないでしょうか。見えないところを想像し、かつそこでのリスクを拾い出すといった作業に対する横着さが頭をもたげてきているような気がします。スマホなどの急激な普及は、SNSなどへの過剰な依存性を高め、それが、脳内に備わっているはずのAR機能を脅かしているのかもしれません。

(2020年2月)

 

小林實(こばやし・みのる)

 1959年慶應義塾大学大学院修士課程修了。警察庁入庁、科学警察研究所勤務。同研究所勤務の間、米国厚生省訪問研究員、フィリピン大学交通訓練センターでの教育指導などに従事。1989年交通部付主任研究官を最後に退官後、(株)損害保険ジャパン顧問、(財)国際交通安全学会顧問、主幹総合交通心理士。現在、交通リスクコンサルタントとして活躍。
 『運転学のすすめ』『安全への視点』『運転の構図』『あんぜんかわらばん』『クルマ社会の安全管理』『なぜ起こす交通事故』など著書多数。当社からは『安全運転管理のスタンス』『安全運転管理の心理学』を発行。

 

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第169回
ポストコロナの安全管理
第168回
消火器はなぜあるのか
第167回
新型コロナと安全管理
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濃厚接触
第165回
俯瞰的な発想
第164回
ハワイとレンタカー
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平成の総括 その3
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