• 会社概要
  • プライバシーポリシー
  • サイトマップ
  • よくあるご質問
  • 見積もり・お問い合わせ

SIGNAL 有限会社 シグナル

営業のご案内
  • 新商品のご案内
  • 商品一覧
  • 普及版 道路交通法冊子
  • 企業の交通事故防止にこの1冊
  • 危険予知トレーニング教材など(サンプル動画あり)
  • 交通安全講習講師の派遣

悪質商法や詐欺から消費者を守る啓発資料はこちら

お知らせ
2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2019年12月9日

買い物カゴの確認・お会計

  • ホーム>
  • 交通安全時評>
  • 安全運転管理あれこれ記
  • 【第162回】

交通安全時評

バックナンバーはこちら

安全運転管理 あれこれ記 その162 「江戸しぐさ」とマナー
交通リスクコンサルタント 小林 實

清潔だった江戸の町

 江戸時代の後期、江戸、つまり今の東京の人口は急増しました。全国からありとあらゆる職種の人々がここに集中したのです。そんな中、当時はまだ下水設備もなかったにもかかわらず、経口伝染といったリスクは意外と少なかったようで、これはある意味、江戸が清潔に保たれていた証拠だといえるでしょう。近郊のお百姓さんが江戸まで出かけてきて「し尿」を買い求め、人糞を肥料として土に戻すという、いわゆるリサイクルシステムも確立されていたようです。
 町の清掃についても、個人であれ、商店であれ、自分のところは自分でやり、よそ様には迷惑をかけないという習慣が徹底していたと考えられます。まさに、このように身を処さねば生きていけない江戸の町であったわけで、そこにはエチケットというか、マナーというものが暗黙のうちに成立していたと考えられます。

お互いを思いやるしぐさ

 かつて、「江戸しぐさ」というものが話題になったことがあります。これは、江戸時代の人々、中でも商人たちの行動規範ともいえるもので、他人を思いやり、他人と共生するためのノウハウを示したものといわれています。最近、こうした「江戸しぐさ」なるものは存在しなかったという説もありますが、歌舞伎などを見ると、そうした所作の片鱗を見ることができるわけで、全面的にこれを否定することはないと思います。
 例えば、「傘かしげ」というしぐさがあります。これは、雨の降る狭い道ですれ違う際、お互いの傘がぶつかり合うことを避けるために傘を外側に少し傾けることによって、気分よくすれ違うことができるというしぐさです。元禄時代には医者や僧侶といった特別な階級の人たちが傘を持ち歩いていたと文献にもあり、歌舞伎十八番で有名な「助六」でも、江戸紫に白い丸を抜いた蛇の目傘が登場しますが、傘というものは江戸時代にはぜいたく品であり、庶民は笠や蓑を使っていましたから、「江戸しぐさ」は後世のネーミングだとする説もあります。
 また、「肩引き」というのは、肩をお互いに引くことによってスペースを作ることで、狭い道でも気分よくすれ違えるという工夫です。これは、士農工商といった身分制度が厳然と存在していた時代であったことを、その背景に考える必要があるでしょう。
 銭湯で湯船に入る際にも、自分の体がまだ冷たいことを「冷えものでござる」と表現し、ほかの客との融和を図る工夫などはごく普通にあったようです。ちょっと他人に気配りをするこうした「江戸しぐさ」の片鱗が、少なくとも昭和の初期までは厳然としてあったというのが筆者の印象です。

不足している気配り

 一方、現代の日本人の社会的なマナーはどうでしょうか。こうした社会生活での気配りが欠けてきつつあることは、残念ながら事実です。普及したスマホや携帯電話が、自分を周囲から隔離するツールのように使われている場合もありますし、道でお互いの傘が「がつん」とぶつかってもあまり気にしない、むしろ相手に非難のまなざしを向けることは日常茶飯事です。若いお母さんがベビーカーを盾に電車に突進してくる姿には、危険すら感じます。
 道路交通の場におけるマナーはどうでしょうか。かつて、停車している車の中から、灰皿に一杯になったたばこの吸い殻を車外にポイ捨てするドライバーも結構いましたが、さすがにこの手のマナー違反は少なくなってきました。また、かつての東京オリンピックのころに「神風タクシー」と称されたような乱暴な運転は姿を消しましたけれど、まだ、気配りという点で不足している部分があるのではないでしょうか。
 近年急増している「インバウンド」などと称する外国からの旅行者の数も、来年に迫ったオリンピックに向けてますます増えてくるでしょう。彼らが最も利用しやすい交通手段はタクシーでしょうから、目下、運転手向けに英語の特訓をやっているという話も聞こえてきます。もちろん、これも「おもてなし」の一つとして大変意味のあることでしょう。しかし、首都圏のタクシーの中には、大きな荷物をトランクに入れるのは客任せ…というシーンもよく見られます。確か関西では、運転手さんが積み込みを助けている光景をよく見るのですが…。
 日本にきた外国人は、特に大きな荷物で苦労します。これは高齢者や、赤ん坊を連れた人たちでも同様です。ぜひ「おもてなし」のセンスを広げて、「さすが東京のタクシーは素晴らしい!」と言ってもらえるようにお願いしたいものです。

ほんのちょっとの我慢

 「運転マナーを守りましょう」といった標語は、昔からどこにでも見られました。この「マナー」と一緒に語られがちな「ルール」というのは、規則であり、それを守らないと社会は無秩序化するものです。例えば違法駐車にしても、皆が平気でこれを続けたら安全上大きな問題となります。ルールの上には「規範」というものがありますが、これは、その社会の良きモデルとなるべき行動とか思想の基準といえるものです。
 一方、マナーというのは、その場という「空間」において他者を不快にしない、もしくは快く思うとされる一つの行動基準です。先ほどの「傘かしげ」もマナーの一つといえますが、エレベーターの前に立ちはだかって降りる人の進路を妨害するというケースは、明らかにマナー違反でしょう。
 マナーは、そこに生活する人々が気持ちよく生活していくための知恵であり、相手への気遣いによる自発的行動だといえましょう。あなたが相手を思ってほんのちょっと我慢することが、状況を良い方向に仕向けるのです。
 あっという間に東京オリンピックが近づいてきています。世界の中でも交通事故による死者数が少ないといわれている我が国の、しかも東京には、それを裏付けるような素晴らしい交通マナー(これは「おもてなし」にも通じます)があることを世界の人々に示したいものです。

(2019年11月)

 

小林實(こばやし・みのる)

 1959年慶應義塾大学大学院修士課程修了。警察庁入庁、科学警察研究所勤務。同研究所勤務の間、米国厚生省訪問研究員、フィリピン大学交通訓練センターでの教育指導などに従事。1989年交通部付主任研究官を最後に退官後、(株)損害保険ジャパン顧問、(財)国際交通安全学会顧問、主幹総合交通心理士。現在、交通リスクコンサルタントとして活躍。
 『運転学のすすめ』『安全への視点』『運転の構図』『あんぜんかわらばん』『クルマ社会の安全管理』『なぜ起こす交通事故』など著書多数。当社からは『安全運転管理のスタンス』『安全運転管理の心理学』を発行。

 

ページトップ

最新の「安全運転管理あれこれ記」へ戻る

バックナンバー

第161回
あおり運転は防げるか
第160回
新しい交通三悪
第159回
点検について
第158回
事故分析の限界
第157回
「人動車」という発想
第156回
教科で教える
第155回
平成の総括 その3
第154回
平成の総括 その2
第153回
平成の総括 その1
第152回
0.5秒の持つ重み
第151回
老いの初心
第150回
2030年の交通社会
第149回
異常をどう検出するか
第148回
ラスムッセンのSRK理論
第147回
JR西日本の「考動計画」
第146回
運転教育とコーチング
第145回
コーチングについて
第144回
かくれんぼができない子供たち
第143回
これからの安全管理
第142回
「駐車場」というワナ
第141回
脅かされる歩行者空間
第140回
台車事故を考える
第139回
「注意」の落とし穴
第138回
デイサービスと安全管理
第137回
企業と労働災害
第136回
残酒(のこりざけ)運転
第135回
マナーについて
第134回
沈着な判断と行動が鍵
第133回
血液型と性格
第132回
忖度こそ安全マナー
第131回
タイヤ以外、何に触れても事故である
第130回
現場の声を聞く
第129回
運転の自動化とドライバー
第128回
人類は変化を続けている
第127回
眼の動きを捉える
第126回
プロアクティブな安全管理
第125回
次世代に向けた安全管理
第124回
思い込みの心理
第123回
これからの交通社会は?
第122回
レジリエントな発想
第121回
レジリエンスと安全管理
第120回
トンネルのリスク
第119回
突然死のリスク
第118回
バスの暴走
第117回
オアフ島と交通渋滞
第116回
安全管理八策
第115回
安全の費用対効果
第114回
交差点での安全運転
第113回
自転車事故と保険
第112回
感電のリスク
第111回
「安全神話」は崩壊したか?
第110回
新人教育のヒント
第109回
自動運転を考える
第108回
再び問われるメンタルヘルス
第107回
ハイタクと安全管理
第106回
何を認知するのか?
第105回
交通安全標語の変遷
第104回
なぜゴリラは見落とされるのか
第103回
10年後の交通を読む
第102回
若者との接し方 指導教官の話から
第101回
若者とクルマ離れ
第100回
異常気象と安全運転管理
第99回
どうする物損事故
第98回
ミラーの効用
第97回
「ハザード」の捉え方
第96回
「手術なき医学」からの脱却
第95回
二つの鉄道事故に学ぶ
第94回
歩道橋について考える
第93回
死亡事故の減りにくい部分
第92回
交通違反の悪質性
第91回
見える化
第90回
ハインリッヒの法則の逆読み
第89回
カクテルパーティー効果
第88回
指差し称呼
第87回
コミュニケーション・ミス
第86回
企業とゾンビ族
第85回
ハイブリッド
第84回
「運転技能」について
第83回
金魚のフン
第82回
5回のなぜなぜ
第81回
天井板崩落事故に学ぶ
第80回
荷役事故と交通事故
第79回
安全管理の格付け
第78回
交通KYTの限界
第77回
中小企業と安全管理
第76回
高年齢者の再雇用問題と企業リスク
第75回
「ハザード」の持つ意味
第74回
仮眠と過労
第73回
ハンドルを握る重み
第72回
厳しくなるメンタルヘルス対策
第71回
事故防止のために事業主は何をすべきか
第70回
多発するトレーラー事故〜プロドライバーの資質を問う
第69回
交通での安全マネジメント
第68回
「ゼロ」の持つ意味
第67回
スウェーデンとアルコール
第66回
北欧・コペンハーゲンの自転車道
第65回
無事故が続いていたら...
第64回
社会のスピード
第63回
国際運転免許
第62回
モラルハザード
第61回
コードンラインは不要だったか? ―首都圏での二次災害の可能性―
第60回
稲叢(いなむら)の火 ―防災の伝承を考える―
第59回
スイスチーズの大きな穴
第58回
外国人観光客と冬道事故
第57回
アビイ・ロードの横断歩道
第56回
安全そして安心を目指せ「運転代行業」
第55回
"不死鳥"の帰還
第54回
目先のリスク回避 ―バスの転落事故から―
第53回
ある学者の死を悼む
第52回
氷河急行の事故
第51回
企業も頑張っている!
第50回
うどん文化と運転
第49回
100円ライターのリスク
第48回
カルガモ走行
第47回
事業仕分け人
第46回
お客様目線
第45回
青矢印信号の謎
第44回
「安・近・短」のわな─グアムでの印象
第43回
120万という数字
第42回
加賀屋さんにみるCSR
第41回
「安全力」をアップしよう
第40回
「まぁ、いっか」の発想
第39回
元を質(ただ)す
第38回
ランドマーク
第37回
誤探知
第36回
持続可能性
第35回
認知ギャップ
第34回
「パーおじいさん」のこと
第33回
40年の功と罪
第32回
キャリーバッグと事故
第31回
KYTの落とし穴
第30回
ゲリラ化する災害
第29回
エスキモーと白
第28回
マニュアルにないもの
第27回
あっ、カエルが跳び出すよ!
第26回
経年劣化
第25回
我輩は「ジコ」である
第24回
タイタニック症候群
第23回
感覚の研ぎ澄まし
第22回
若い世代と安全管理
第21回
近づくもの・遠ざかるもの
第20回
自己防衛の殻を破る
第19回
トップの厳しい目
第18回
逆転の発想
第17回
ベトナムとヘルメット
第16回
心のサーモスタット
第15回
地図の効用
第14回
左か右か
第13回
銃社会のジレンマ
第12回
はい作業とは
第11回
ロータリー的発想
第10回
図と地の関係
第09回
安全の文化
第08回
飲酒運転とJカーブ
第07回
視覚公害
第06回
イタリアとリスク
第05回
ボルボが似合った男
第04回
自転車の勘違い
第03回
脳のサボリ装置
第02回
おかしなアナウンス
第01回
転倒リスク

ホームへ戻る