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2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2019年6月27

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交通安全時評

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安全運転管理 あれこれ記 その154 平成の総括 その2
交通リスクコンサルタント 小林 實

 平成と昭和とは中身が違う

 道路交通は、この30年間にどのような動きがあったでしょうか。まずは交通事故の推移を統計数字から眺めてみましょう。
 平成の初期における交通事故による年間死者数は、昭和の最後を受けてまだ1万人台という数字を維持しており、平成元年の年間の死者数は11,086人でありましたが、平成8年になると9,943人と、年間1万人という数字を割りました。そして、平成の後半である平成25年には4,388人、平成30年には3,532人と、ある意味で画期的な減少を示しています(図1の赤線部分)。
 平成15年、時の総理・小泉さんが「今後10年をめどに死者数をさらに半減する」という公約で臨んだわけですが、これがほぼ実現したわけで、もし小泉さんが今でも総理であったとするなら、「どんなもんだい!」と多少老けた得意顔をするに違いありません。つまり、平成の30年間に年間の死者数を3分の1にまでしたのですから、これが偉業であることには間違いありません(後世がどう評価するかは別ですが)。

 図1.jpg

   かつて、昭和45年(1970年)には年間16,765人と史上最多の死者数を記録し、「交通戦争」なる言葉がマスコミを賑わしたことは記憶に残っています。当時、我が国の道路整備状況や、信号制御システムなどが今とは比べられぬほどの低レベルにあったわけですが、そこから昭和の後半にかけて、ハード面での整備が近代化したこと、交通警察の活動や安全教育の充実などの相乗効果として、死者数1万人を割るレベルにまで持ってくることができたわけです。
 そうした背景を考えると、昭和45年(1970年)から昭和63年(1988年)にわたる約6,400人の死亡者の減少と、平成12年(2000年)の9,073人から平成30年(2018年)の3,532人という約5,500人の減少とでは、同じ18年間を見た場合でも、中身がかなり違っているのではないでしょうか。つまり、単に数字上の比較ではなく、平成の時代に入ってからの減少ぶりは、我が国の安全レベルが交通先進国並みになったことの表れともいえるのです。例えば、シートベルト着用の普及であるとか、エアバッグなどの安全装置の開発などが進み、人々の安全意識も高まった状況で、それらが当たり前になった時代であることを考慮に入れる必要がありましょう。
 もちろん、政府が長年にわたり「交通安全基本計画」を立ち上げ、長期的な計画のもとに目標に向けて政策をとったことも、大いにこの減少に関係していると思われます。いわゆる「官民一体の努力」の結果といえるでしょう。

平成16年は死傷者数がピーク

 一方、死亡者だけでなく負傷者も含めた数字を見ますと、意外な事実がわかります。昭和45年(1970年)の死傷者の総数は約99万8千人でしたが、平成16年(2004年)には約119万1千人と史上最多の値を示していることです(図1の赤線と青線の合計値)。つまり、交通事故による被害者の数は、平成に入っても年々増加し続けていたのです。
 この図1を見ますと、第一のピークは昭和45年(1970年)、第二のピークは平成16年(2004年)となっていますが、その後は減少傾向を示し、平成29年(2017年)には約58万人まで減少しています。この平成前半の上昇傾向には何が影響したのかその理由は必ずしも明確ではありませんが、リーマンショック以前の活発な経済活動などとも関連したかもしれません。
 また、死亡者を状態別に見ますと、自動車乗車中に死亡された方が、平成元年(1989年)には約4,000人であったものが、平成5年(1993年)には5,000人近くに達しました。しかし、その後は徐々に減少し、平成29年(2017年)には約1,200人にまで減少していることがわかります(図2)。つまり、現時点では自動車乗車中の死者数は歩行中の死者数とほぼ同じレベルに達していることを示しており、これは主に自動車の衝突安全性能が向上した成果とみてよいでしょう。
 この間、政府の第8次交通安全基本計画(平成18?22年度・2006?2010年度)において、死者のみならず負傷者も含めた「死傷者」の減少を目標にしたことは一つの前進といえるでしょう。つまり、死亡者だけでなく、負傷者というものも極めて大きな社会的な損失としてとらえるようになったということです。

 

 高齢化は平成を象徴するキーワード

 世間には、高齢者は交通事故と大いに関係がある―とする風潮がありますが、この30年で高齢者事故の数字がどう変化しているか見てみましょう。
 高齢者の場合、いわゆる交通弱者としての歩行中の事故が何といっても多いといえます。歩行中の死亡者の数は、昭和の終わりごろから上昇を続け、平成元年(1989年)には約1,300人で、この数字はさらに平成6年(1994年)の約1,600人にまで伸びていることがわかります(図3の赤線部分)。これは、交通場面に参加する高齢者が増えた一つの証拠でしょう。しかしその後、この値は年々減少し、平成29年(2017年)には972人にまで減少しています。いまだ歩車分離が十分に機能していない面もありますが、今後の安全指導などの強化で、この数字はさらに下がると期待されます。
 ところで、交通事故の致死率、つまり、死傷者に占める死者の割合は、65歳未満で0.34%であるのに対し、65歳以上では2.17%と、6倍以上にも達していることは軽視できない問題です。そして、高齢者の歩行者や自転車、原付などの死者数が年々減少する中で自動車乗車中の死者数が年間500人から600人の間にある点も軽視できません。今後、高齢ドライバーの数がさらに増えることを考えたときに、一つの懸念材料だといえるでしょう。
 

図3.jpg

 

(次号に続く)

(2019年3月)

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