• 会社概要
  • プライバシーポリシー
  • サイトマップ
  • よくあるご質問
  • 見積もり・お問い合わせ

SIGNAL 有限会社 シグナル

営業のご案内
  • 新商品のご案内
  • 商品一覧
  • 普及版 道路交通法冊子
  • 企業の交通事故防止にこの1冊
  • 危険予知トレーニング教材など(サンプル動画あり)
  • 交通安全講習講師の派遣

悪質商法や詐欺から消費者を守る啓発資料はこちら

お知らせ
2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2018年11月20日

買い物カゴの確認・お会計

  • ホーム>
  • 交通安全時評>
  • 安全運転管理あれこれ記
  • 【第147回】

交通安全時評

バックナンバーはこちら

安全運転管理 あれこれ記 その147 JR西日本の「考動計画」
交通リスクコンサルタント 小林 實

「考動計画」とは?

 今年の2月にJR西日本から「鉄道安全考動計画2022」というものが発表されました。「考動」というと何か見慣れない感じがしますが、安全の分野では結構使われています。最近は日本語をいじるといいますか、同じ読み方の別の漢字をあてて新たな言葉を作るということが流行っているようで、労働を「朗働」と呼ぶケースがあるように、今回の考動というのもその種の造語です。
 この考動計画は、死傷者を多数出した2005年の福知山線列車脱線事故などの反省から、5か年計画として策定されたものです。あの脱線事故の教訓は、重大なインシデントにつながるリスクを十分に把握すること、いかなる場合でも安全を最優先することが主なものでしたが、その後、いくつかの安全計画を推進したにもかかわらず、その教訓が十分に活かされていないことから、どのような状況でも自ら考えて行動する力を醸成することが喫緊の課題だ―としています。
 また、それまで鉄道運送全般にかかわるリスクの取り上げ方が足りなかったこと、過度の上意下達的風土が物を言いにくい雰囲気の醸成につながったことを指摘し、それへの対応を図るもので、ことに昨年12月に発生した新幹線の台車亀裂事故という重大インシデントに関しては、リスクの受け止め方、対応の遅れなど、一人ひとりのリスク認識の甘さがその原因だ―と指摘しています。

「考動」の意味

 さて、ここで「考動」という造語をあえて用いた理由は何なのでしょう。
 単に「行動」というと、自ら行う自律的な行動と、他からうながされてやる他律的行動とが含まれます。そこで、自ら行動する自主性というものに焦点を当て「行動しながら考える」もしくは「考えながら行動する」という意味を強調するため、「考動」という造語を用いたのでしょう。
 この用語は、企業や大学などの限られた組織でよく用いられ、かなりの認知度を得ています。例を挙げると、企業の就職案内や大学の入学案内で「考動力をアピールしてほしい」であるとか、「考動力を育成する」といった使われ方をしています。また、JR西日本にも「鉄道安全考動館」と呼ばれる施設がありますし、東京電力にも「安全考動センター」といったものがあるようです。

見過ごされた接触事故

 JR西日本では、今年6月にも、博多発の新幹線が線路上にいた人と接触して死亡させた事故がありました。運転士はそれまでに小動物と接触した経験が結構あったようで、いつもの小動物との軽い接触と思って、そのまま運行を続けたそうです。そして、列車が小倉駅に到着したときに駅員が先頭部分の破損を発見しましたが、運行に支障はないと判断し、発車後までこのトラブルは報告されていませんでした。
 その後、たまたま徐行ですれ違った新幹線の運転士が、対向の先頭車両に何か大きな穴が開いている―と報告したことにより、新下関駅でようやく運行を停止したわけですが、もしそのまま走行を続け、高速による振動などの影響でフロント部分のカバーが外れ落ち、対向車両や沿線の民家などに当たったとすれば、大きな事故になったかもしれません。
 これに先立って、同じJR西日本で、新幹線の台車トラブルもありました。これは、車両の安全運行のために重大な役割がある台車の亀裂に気づかずに運行を続けたもので、幸い事故には至りませんでしたが、そのまま放置されれば大事故につながる可能性があったという点で、この両者は共通しています。

考動計画への期待

 この接触事故での対応を見ますと、せっかく提唱した考動計画なるものが末端まで浸透していたのかどうか、はなはだ疑わしい面がうかがえます。もちろん、新しいスタンスで計画を立て、それを実行するのは本当に望ましいことといえましょう。「考動」についても、「action」という行動に加え、「人間の判断」という理性にゆだねる部分の重要性を説いた点で、一つの重要なアプローチだといえましょう。
 今後、こうした計画のように何よりも安全を最優先する価値観、つまりは列車を止める勇気や決断というものが強化される教育の成果に期待したいものです。

ベストな行動は何か?

 ところで、先日、ある路線バスに乗車したときの出来事です。車内はかなり空いていて、筆者は、降車する停留所のかなり手前で降車ボタンを押し、赤ランプがついたことも確認しました。もちろん運転士も口頭で「次、停まります」と呼称しましたし、筆者自身、運転席の停車ランプが赤くなっていたことを確認しています。
 こちらは当然停まってくれるものと思っていましたが、バス停に待っているお客がいなかったこともあってか、そのまま、あれよあれよという間に加速して通りすぎ、大声で「降ります!」と言ったものの、すでにバス停から約50メートルも離れていました。運転士は慌てて「すみません…」と言いながらバスを停め、降車ドアを開けました。
 さて、降りた車道にはガードレールでなくガードパイプが腰の高さまであり、またいで歩道に上がることができず、元のバス停まで戻る間、かなりの危険を感じながら車道を歩くことを余儀なくされました。当然ですが、停留所以外で乗客の乗降をさせたことは道路運送法に違反しています。今まで乗客だった歩行者に与えるリスクを回避するには、次のバス停まで運行を続けることが運転士の正しい行動だったはずです。
 この運転士のそれまでの行動を観察していますと、胸に手を当てたり、何かガチャガチャと音をさせたりと、ほかのことに気をとられているような気配がありました。そんなこんなでついうっかり…となったのでしょうが、自分が今何をしなければならないか、その配慮が不足していたものと思います。
 仮にこうした行為が朝礼などで指摘されたとしても、「ついうっかりして…」といった言い訳に終始する可能性が高いのではないでしょうか。こうしたちょっとしたインシデントが事故につながるリスクの高いことを管理者の方たちは強く意識し、いかなる場合にも、「とっさに取るべきベストの行動は何か」を考えて行動に移すように指導することこそ必要でしょう。これは、今回のテーマである「考動」という考え方と大いに関係しています。

 

小林實(こばやし・みのる)

 1959年慶應義塾大学大学院修士課程修了。警察庁入庁、科学警察研究所勤務。同研究所勤務の間、米国厚生省訪問研究員、フィリピン大学交通訓練センターでの教育指導などに従事。1989年交通部付主任研究官を最後に退官後、(株)損害保険ジャパン顧問、(財)国際交通安全学会顧問、主幹総合交通心理士。現在、交通リスクコンサルタントとして活躍。
 『運転学のすすめ』『安全への視点』『運転の構図』『あんぜんかわらばん』『クルマ社会の安全管理』『なぜ起こす交通事故』など著書多数。当社からは『安全運転管理のスタンス』『安全運転管理の心理学』を発行。 

ページトップ

最新の「安全運転管理あれこれ記」へ戻る

バックナンバー

第148回
ラスムッセンのSRK理論
第147回
JR西日本の「考動計画」
第146回
運転教育とコーチング
第145回
コーチングについて
第144回
かくれんぼができない子供たち
第143回
これからの安全管理
第142回
「駐車場」というワナ
第141回
脅かされる歩行者空間
第140回
台車事故を考える
第139回
「注意」の落とし穴
第138回
デイサービスと安全管理
第137回
企業と労働災害
第136回
残酒(のこりざけ)運転
第135回
マナーについて
第134回
沈着な判断と行動が鍵
第133回
血液型と性格
第132回
忖度こそ安全マナー
第131回
タイヤ以外、何に触れても事故である
第130回
現場の声を聞く
第129回
運転の自動化とドライバー
第128回
人類は変化を続けている
第127回
眼の動きを捉える
第126回
プロアクティブな安全管理
第125回
次世代に向けた安全管理
第124回
思い込みの心理
第123回
これからの交通社会は?
第122回
レジリエントな発想
第121回
レジリエンスと安全管理
第120回
トンネルのリスク
第119回
突然死のリスク
第118回
バスの暴走
第117回
オアフ島と交通渋滞
第116回
安全管理八策
第115回
安全の費用対効果
第114回
交差点での安全運転
第113回
自転車事故と保険
第112回
感電のリスク
第111回
「安全神話」は崩壊したか?
第110回
新人教育のヒント
第109回
自動運転を考える
第108回
再び問われるメンタルヘルス
第107回
ハイタクと安全管理
第106回
何を認知するのか?
第105回
交通安全標語の変遷
第104回
なぜゴリラは見落とされるのか
第103回
10年後の交通を読む
第102回
若者との接し方 指導教官の話から
第101回
若者とクルマ離れ
第100回
異常気象と安全運転管理
第99回
どうする物損事故
第98回
ミラーの効用
第97回
「ハザード」の捉え方
第96回
「手術なき医学」からの脱却
第95回
二つの鉄道事故に学ぶ
第94回
歩道橋について考える
第93回
死亡事故の減りにくい部分
第92回
交通違反の悪質性
第91回
見える化
第90回
ハインリッヒの法則の逆読み
第89回
カクテルパーティー効果
第88回
指差し称呼
第87回
コミュニケーション・ミス
第86回
企業とゾンビ族
第85回
ハイブリッド
第84回
「運転技能」について
第83回
金魚のフン
第82回
5回のなぜなぜ
第81回
天井板崩落事故に学ぶ
第80回
荷役事故と交通事故
第79回
安全管理の格付け
第78回
交通KYTの限界
第77回
中小企業と安全管理
第76回
高年齢者の再雇用問題と企業リスク
第75回
「ハザード」の持つ意味
第74回
仮眠と過労
第73回
ハンドルを握る重み
第72回
厳しくなるメンタルヘルス対策
第71回
事故防止のために事業主は何をすべきか
第70回
多発するトレーラー事故〜プロドライバーの資質を問う
第69回
交通での安全マネジメント
第68回
「ゼロ」の持つ意味
第67回
スウェーデンとアルコール
第66回
北欧・コペンハーゲンの自転車道
第65回
無事故が続いていたら...
第64回
社会のスピード
第63回
国際運転免許
第62回
モラルハザード
第61回
コードンラインは不要だったか? ―首都圏での二次災害の可能性―
第60回
稲叢(いなむら)の火 ―防災の伝承を考える―
第59回
スイスチーズの大きな穴
第58回
外国人観光客と冬道事故
第57回
アビイ・ロードの横断歩道
第56回
安全そして安心を目指せ「運転代行業」
第55回
"不死鳥"の帰還
第54回
目先のリスク回避 ―バスの転落事故から―
第53回
ある学者の死を悼む
第52回
氷河急行の事故
第51回
企業も頑張っている!
第50回
うどん文化と運転
第49回
100円ライターのリスク
第48回
カルガモ走行
第47回
事業仕分け人
第46回
お客様目線
第45回
青矢印信号の謎
第44回
「安・近・短」のわな─グアムでの印象
第43回
120万という数字
第42回
加賀屋さんにみるCSR
第41回
「安全力」をアップしよう
第40回
「まぁ、いっか」の発想
第39回
元を質(ただ)す
第38回
ランドマーク
第37回
誤探知
第36回
持続可能性
第35回
認知ギャップ
第34回
「パーおじいさん」のこと
第33回
40年の功と罪
第32回
キャリーバッグと事故
第31回
KYTの落とし穴
第30回
ゲリラ化する災害
第29回
エスキモーと白
第28回
マニュアルにないもの
第27回
あっ、カエルが跳び出すよ!
第26回
経年劣化
第25回
我輩は「ジコ」である
第24回
タイタニック症候群
第23回
感覚の研ぎ澄まし
第22回
若い世代と安全管理
第21回
近づくもの・遠ざかるもの
第20回
自己防衛の殻を破る
第19回
トップの厳しい目
第18回
逆転の発想
第17回
ベトナムとヘルメット
第16回
心のサーモスタット
第15回
地図の効用
第14回
左か右か
第13回
銃社会のジレンマ
第12回
はい作業とは
第11回
ロータリー的発想
第10回
図と地の関係
第09回
安全の文化
第08回
飲酒運転とJカーブ
第07回
視覚公害
第06回
イタリアとリスク
第05回
ボルボが似合った男
第04回
自転車の勘違い
第03回
脳のサボリ装置
第02回
おかしなアナウンス
第01回
転倒リスク

ホームへ戻る