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自転車の運転中に歩行者をはねて死傷させる事故や、他の自転車に衝突して自転車利用者を死傷させる事故は、全国で年間5,000件ほど発生していますが、近年、こうした自転車運転者による加害事故は、新聞やテレビなどのマスコミで頻繁に取り上げられ、その加害者に対する社会の目は厳しさを増しています。

そこで、今回の交通安全コラムでは、自転車の運転によって人身事故を起こした者は、法律上どのような責任を負わなければならないのか―について、その概要を解説します

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自転車による人身事故で自転車の運転者が負わなければならない法的責任は、「刑事上」と「民事上」の二つに大別されますが、このうち「刑事上」の責任は、刑法と道路交通法の規定に基づいて追及されます。

まず刑法において、自転車による加害事故は、自転車の運転者が当然果たすべき注意義務を果たさなかった結果である―として、通常「過失」が認定され、「過失傷害罪」(最高刑・罰金30万円)または「過失致死罪」(最高刑・罰金50万円)が適用されますが、「著しく高い速度で走行していた…」、「飲酒運転をしていた…」などで、自転車の運転者に「重大な過失」が認められると、「重過失致死傷罪」(最高刑・懲役5年)に問われることになります。

また、運転者に「酒酔い運転」(最高刑・懲役5年)、「信号無視」(最高刑・懲役3月)、「一時停止違反」(最高刑・懲役3月)など、道路交通法上の違反が認められる場合は、刑法上の罰則に加え、道路交通法上の罰則が適用される可能性があります。

刑法の罰則と道路交通法の罰則の両方を適用して運転者を懲役または禁錮に処する場合、両罪のうち「最も重い罪」の長期(最高刑)にその2分の1を加算したものを最高刑とする「併合罪」とされる。たとえば、「重過失致死傷罪」(最高刑・懲役5年)と「酒酔い運転」(最高刑・懲役5年)が適用された場合、「最も重い罪」の最高刑(懲役5年)にその2分の1(懲役2年6月)を加算した「懲役7年6月」が最高刑となる。ただし、「併合罪」の最高刑は両罪の最高刑の合計を超えてはならないことも同時に規定されているため、たとえば、「重過失致死傷罪」(最高刑・懲役5年)と「信号無視」(最高刑・懲役3月)が適用された場合、その併合罪の最高刑は「懲役5年3月」となる。
 
なお、道路交通法上、自転車の運転者には、自動車の運転者と同様に、事故時に負傷者がいた場合、その負傷者を救護する義務があり、これに違反すると救護義務違反(ひき逃げ)として処罰の対象になります。ただし、軽車両である自転車の救護義務違反の最高刑は「懲役1年」で、自動車の最高刑は「懲役10年」となっています。

自動車の救護義務違反の最高刑は、平成19年9月19日施行の道路交通法一部改正により、「懲役5年」から「懲役10年」に引き上げられたが、軽車両の最高刑は「懲役1年」のままで引き上げられなかった。 

 

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一方、自転車による人身事故を起こした運転者に問われる「民事上」の責任は、民法上の「不法行為による損害賠償」で定められています。

この規定は「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」というもので、その損害賠償の方法については、同法で「金銭によってその額を定める」とされています。

損害賠償額の算定にあたっては、被害者が負傷した場合には治療費や休業補償、傷害慰謝料など、被害者に後遺障害があるときには治療費や休業補償、後遺障害慰謝料など、被害者が死亡した場合には葬儀費用、逸失利益、死亡慰謝料などを合算し、これらの合算額に運転者の過失割合に応じて減額した額が「損害賠償額」となりますが、近年、自転車による死傷事故の「損害賠償額」は高額化しており、1億円近くの支払いを命じた判決も出されています。

自動車の運転者は自賠責保険への加入が義務づけられ、さらにほとんどの運転者は任意保険にも入っているため、高額賠償にも対処できますが、自転車の運転者の多くは、自転車事故のリスクを軽視して保険に入っていない―というのが現状です。特に自転車を日常的に利用する人は、安全運転に努めるのはもちろんのこと、万が一の事故で賠償責任が生じた場合に備える保険への加入を検討することが大切です

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 (2018年6月29日) 

  

 

  

 

 

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   自転車の交通ルールハンドブックgoannai1324-2015.gif

   A5判 40ページ カラー

●自転車利用者はどのような交通ルールを守らなければならないのか―、どの法令等がそのルールの根拠になっているのか―が一目瞭然でわかるよう、見開きで対比させるスタイルでまとめています。
●また、自転車事故の発生実態を事故データをもとに解説するとともに、安全通行のポイントも掲載して
います。

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