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2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2018年10月15日

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交通安全時評

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昨年2011年(平成23年)の全国で発生した交通事故(人身事故)は691,932件で、前年よりも33,841件少なく、1992年(平成4年)以来19年ぶりに70万件を下回り、負傷者数も前年より41,719人少ない854,489人にとどまり、2005年(平成17年)から7年連続減少を記録している、また、交通事故死者数(24時間死者数)は4,611人で、前年に比べ252人(5.2%)少なく、2001年(平成13年)から11年連続して減少した―ということについては前回のこの「雑記」でも紹介しました。

そして、国や地方自治体等の財政悪化が年々急速に進み、各種の交通安全対策に投じられる費用は年々削減され続け、交通安全対策の総量は、少なくとも1992年(平成4年)当時に比べ、確実に減少しており、しかも、交通安全対策の質も、交通安全対策の総量減少をカバーするほど高まったとはいえない状況の下で、年間の交通事故(人身事故)発生件数が7年連続して減少し、なかでも死者数は11年連続して減少、3年連続して5,000人を割り込んでいる―という現況は、確かに歓迎すべき状況であるには違いありませんが、たとえば、年間の全国の交通事故(人身事故)件数が695,345件にとどまった1992年(平成4年)の死者数は、11,451人であったこと、また、全国の交通事故死者数が5,000人を割り込んでいたのは、半世紀以上も前の1952年(昭和27年)以前のこと等を鑑みれば、にわかには信じ難いほど不可解ともいえる減少ぶりであることも述べましたが、今回の「雑記」では、減少傾向をたどっている交通事故のもう一つの「不可解」について述べてみようと思います。

それは、交通事故の「類型別」発生状況の「不可解」です。ご承知の方も少なくないと存じますが、交通事故の「類型別」発生状況というのは、簡潔にいえば、警察の交通事故統計上、交通事故の当事者がどのような行動関係にあったのか―を基にした区分法ですが、大きくは、(1)人対車両、(2)車両相互、(3)車両単独、(4)列車(踏切)事故の4つに区分され、この「車両」には道路交通法の定義にある自動車、原動機付自転車、自転車などの軽車両のほか、今では皆無に近いトロリーバスや一部地域でしか見られない路面電車も含まれます。また、「人」には、いわゆる道路を通行中の「歩行者」のほか、路上作業中の人や遊戯中の人なども含まれます。なおまた、列車(踏切)事故は、あくまでも踏切上で列車と歩行者等「人」または「車両」が衝突した場合の事故で、踏切以外の線路上で列車と人が衝突した事故は含まれません。

さらにまた、この4つの大区分のうち、(1)の「人対車両」は、「対面通行中」や「背面通行中」、「横断中」、「路上作業中」、「路上遊戯中」など10種に細区分されますし、(2)の「車両単独」はガードレールや電柱等の「路上・路側工作物への衝突」や「路外逸脱・転落」など、最終的には12種に細区分されますが、その個々の細区分が交通事故全体に占める割合はさほど多くはありませんので、以下では、「人対車両」、「車両単独」という大区分のまま述べていくこととします。ただ、(3)の「車両相互」は交通事故全体に占める割合も圧倒的に多いので、「追突」、「出会い頭」、「正面衝突」、「右左折時衝突」の4種に中区分してみていくこととします。しかし、これら4種をはじめとする「車両相互」の事故のなかには、一般的な警察統計として、「軽車両」と自動車・原付との衝突事故、なかでも自転車と自動車・原付との衝突事故が相当数含まれています。しかし、このままでは特に近年、何かと取りざたされている、いわゆる「自転車事故」の実態・動向が把握できません。そこで弊社では、かねてから、自転車と自動車・原付との事故を「車両相互」の各種の事故類型から分立して抽出し、「対自転車」として別区分していますが、その分析結果によると、毎年、全国で発生した交通事故は、(1)「人対車両」、(2)「車両単独」、そして、「車両相互」の(3)「追突」、(4)「出会い頭」、(5)「正面衝突」、(6)「右左折時衝突」、(7)「対自転車」の7つの事故類型で90数%を占めている実態が判明します。

交通事故の「類型別」発生状況の「不可解」というのは、全交通事故の90数%を占める7つの類型の事故が、交通事故全体の発生件数の増減にかかわらず、毎年ほぼ同様の割合で発生している―という点です。いうまでもなく、交通事故の発生件数というのは、1件1件の個別的事故の積み重ねですから、その「類型別」発生状況も年によって千差万別であるほうが自然であるように思えます。たとえば、前年は「人対車両」の事故が圧倒的に多かったが、今年は「車両相互」の「追突」事故が大多数を占めた…というようにです。しかし、毎年、減少傾向をたどっている全国の交通事故の「類型別」発生状況をみると、「人対車両」の事故は9%前後、「車両単独」は5%前後、「車両相互」の「追突」は31%前後、「出会い頭」は16%前後、「正面衝突」は2%前後、「右左折時衝突」は9%前後、「対自転車」は20%前後というように、その占率はほぼ一定しています。もちろん、厳密には年により若干の増減はありますが、いわば誤差の範囲内というほどの違いにすぎません。つまり、1件1件の個別的事故の積み重ねであるはずの交通事故の「類型別」発生状況が、なぜ、同じ類型の事故が毎年、同じような割合で発生するのか・・・、それが「不可解」だと思うのです。

念のため、こうした状況は、もちろん、近年に限ったことではありません。弊社が交通事故の統計分析に本格的に着手した30年以上も前から同様の状況にありました。ただ、その当時の「類型別」発生状況と近年のそれを比較すれば「人対車両」の事故の占率が20%台から10%未満に減少、「車両単独」の占率も若干減少、逆に、「対自転車」を含む「車両相互」の事故の占率は70%弱から85%以上へと高くなっている―という変化がみられますが、5年から10年の中期的スパンでみれば、「誤差の範囲内」という程度の変化しかみられず、同じ類型の事故が毎年、同じような割合で発生している―というのが実態なのです。つまり、特に近年は、なぜか、交通事故の発生件数は毎年着実に減少傾向をたどってはいますが、交通事故の「類型別」発生状況にはほとんど変化が認められず、交通事故の総量こそ減少しているとはいえ、相変わらず、毎年同じような事故が同じような割合で発生している―という、交通事故の基本的な発生状況は何も変わっていないのです。

もちろん、こうした交通事故の「類型別」発生状況は、死亡交通事故に限ってみても、人身事故全体の場合の占率状況とはかなりの違いがあることは確かですが、毎年同じ類型の死亡事故が同じような割合で発生している―という状況は全く同じです。最近数年の状況でいうと、「人対車両」の事故死者が32%から36%ほど、「車両単独」が20%前後、「対自転車」を含む「車両相互」の事故死者は45%ほどで推移し、なかでも、「対自転車」や「正面衝突」、「出会い頭」の事故死者が圧倒的に多くを占めているという状況にありますが、「人対車両」の事故死者が「誤差の範囲内」にとどまらず、32%台から36%余まで年々増加の傾向をたどり、その分、「車両単独」や「車両相互」の事故死者の占率が年々低下している―という変化が認められることが特徴といえるでしょう。ただし、その増加傾向や減少傾向も比較的穏便なもので、総じていえば、人身事故の場合と同様、毎年同じ類型による事故死者が同じような割合で発生している―という基本的な実態に変わりはありません。ちなみに、30数年以上も前の1970年代前半の「類型別」発生状況と比較しても、「人対車両」の事故死者の割合が幾分少なくなって、その分、「車両相互」の事故死者の割合が高くなっている―という若干の変化は認められるものの、基本的状況としては目立った変化が認められないとみるべきでしょう。

冒頭にも述べたように、近年、全国の交通事故は着実な減少傾向をたどり、特に交通事故死者数は劇的な減少傾向をたどり、3年連続して5,000人を割り込むという、半世紀以上も前のレベルにまで低下しています。長年にわたり、まずはともかく交通事故死者数の減少を・・・ということを重点に取り組んできた我が国の交通安全対策の経緯からすれば、今日のこうした事態は大いに歓迎すべきことには違いありませんが、毎年、同じ類型の事故が同じような割合で発生している―という交通事故の基本的な発生状況はほとんど変化していないという点が「不可解」だと思うのです。さらに付け加えれば、さらに詳細な交通事故の統計分析や事例分析をすれば、同じ類型の事故(死)が、同じような条件下で、毎年、同じような割合で繰り返し発生している―というのが厳格な実態表現です。なぜ、毎年、毎年、同じ類型の事故(死)が、同じような条件下で、同じような割合で繰り返し発生し続けているのか・・・、その解明こそが今後の交通安全の最重要課題であると思うものですが、いかが・・・。
(2012年2月15日)

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大震災の被災地にも冬将軍が襲来、冬道での安全運転を願って・・・
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第32回
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第31回
未曾有の大震災から露呈された「安全問題」の課題を探る・・・No.2
第30回
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第28回
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第27回
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第22回
困ったもんだよ、警視総監の「手上げ横断」セレモニー・・・
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第16回
民主党圧勝し政権交代、どうなる「高速道路無料化公約」・・・
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