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2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2018年10月15日

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交通安全時評

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一昨日(11月14日)の夜、札幌市内でも初雪がちらつき、15日の朝には、雪化粧した旭川市内の状況のほか、15日の夜から16日にかけては北海道内各地の平野部でも積雪が見られるかもしれない―というニュースがテレビ等で報じられました。11月中旬になっての札幌市内平地での初雪は、観測史上3番目に遅い記録になるということですが、例年にない暑い夏、長引いた残暑もようやく過ぎ去り、北海道はいよいよ「冬将軍」が支配する季節となりました。また、この寒波の襲来は、北海道のみならず、東北など北日本各地の平地にも降雪をもたらすかもしれないとの予報も出されていますが、大震災で被災し仮設住宅で暮らす人々が、これからの厳しい冬を無事に乗り切ることを切に願うものですが、大震災の被災地の人々が厳しい冬を乗り切る、その課題の一つに「冬道の安全運転」があります。というのも、少なくともこの数年来、いわゆる「冬道」でのスリップ事故などの「冬型事故」は年々減少の傾向をたどっていますが、新たな懸念材料もみられるからです。

まず、全国的にはなじみが薄いと思われる「冬型事故」ですが、これは北海道警察交通部が定義づけているもので、いわゆる「夏場」にはあり得ない降雪・寒冷地に特有の冬ならではの特殊な要因、つまり、積雪・凍結路面での「スリップ」が決定的要因になった事故をはじめ、積雪によってできた「わだち」にハンドルを取られた結果の事故、大雪や吹雪による視界不良が決定的要因になった事故、スキーやスケート、ソリ遊びで路上にとび出した子どもなどとの事故、除排雪作業車に巻き込まれた事故など、これらを総称して言うのが「冬型事故」です。また、大雪や吹雪による視界不良が決定的要因になった事故などは意外に少なく、「冬型事故」の90%以上は「スリップ事故」です。ただ、その「スリップ事故」も先にも述べたように年々減少の傾向をたどっていますが、その要因として、スタッドレスタイヤの性能向上、ABS(アンチロックブレーキシステム)などスリップによる危険を軽減するための先進技術を搭載した車の普及、また、除排雪や凍結防止剤の散布作業の拡充等による冬の道路のインフラ整備などが考えられますが、まず、大震災の被災地では、除排雪や凍結防止剤の散布など冬の道路のインフラ整備が遅滞・縮小され、例年以上に積雪・凍結路を走行する機会が多くなるのでは・・・と思われますので、その分だけ「スリップ事故」発生の危険性が高まるのではないか―というのが第一の懸念です。

また、大震災の被災地に限ったことではありませんが、近年の「冬道」安全走行上の大きな懸念として、スタッドレスタイヤや車の安全走行性能の飛躍的向上に伴ってドライバー総体の「冬道」を安全に走行するための知識・技能、すなわち、「冬道」での安全運転能力が低下しているのではないか―という点です。その根拠を二、三、挙げると、まず、北海道警察交通部が調査集計した北海道内での「スリップ事故」のおよそ90%は「凍結路」で発生しており、「積雪路」での「スリップ事故」は意外に少なく、スパイクタイヤ全盛期に比べても、その占率は減少していること、また、「冬道」走行により適しているといわれるAT車(オートマチック車)やABS(アンチロックブレーキシステム)装備車が圧倒的多数となって普及しているのに、「スリップ事故」を引き起こした車の80%前後がAT車やABS装備車であること、さらにはまた、4WD車(4輪駆動車)による「スリップ事故」が3分の2近くをも占めていることなどです。

以下では、これらの懸念について具体的に述べますが、その前に、「冬道」について、あるいは、あまり聞き慣れない人も少なくないと思われますので、説明しておきます。「冬道」は、ちなみに、「広辞苑」(国語辞典)にも載っておらず、先に紹介した「冬型事故」のように北海道警察交通部でも明確な定義づけをしているわけではありません。したがって、かつては、全国的にも一般的になじみのある「雪道」という言葉を使っていた時もありましたが、冬でも車での道路交通が一般的になり、増大するにつれ、特に北海道の冬の道路は、降雪で路面が覆われた「雪道」のほか、路面の積雪が多くの車の通行で圧迫され固められて「圧雪路面」となり、それが日中の日ざしで表面が融け、朝夜の気温低下により凍結し、雪とは全く異なる氷状になることがあり、しかも、特に交通量が多い市街地では、むしろ、「雪道」や「圧雪路」よりも氷状の路面が多くなることもあるほか、「圧雪路」が日ざしで融け、ザクザクのシャーベット状になることもあるなど、「雪道」とは言い難いさまざまな路面が出現します。そうした冬ならではの路面を総称する言葉として「冬道」という言葉が使われ、一般的になったというのが実情です。

北海道警察交通部では、こうした冬の路面の多様性を踏まえ、圧雪路を含む「積雪路」と「凍結路」の二つに大区分し、「スリップ事故」がいずれの路面で発生したか―を調査集計していますが、その結果によると、先にも紹介したように、およそ90%は「凍結路」で発生しており、「積雪路」での「スリップ事故」は意外に少ないという結果になっているのです。これは、周知のように、「アイスバーン」に代表される「凍結路面」は、「圧雪路面」に比べても2倍から4倍も滑りやすい(摩擦係数が低い)ということの当然の結果ではありますが、昨今は、スタッドレスタイヤの性能向上が災いしている点も少なくないのでは・・・と懸念しているのです。

かつてのスパイクタイヤ全盛期には、「積雪路面」でのスリップ事故も相当数あり、その比率も昨今よりはるかに高かったのです。いわゆるスノータイヤに打ち込まれた鋼鉄のスパイクピンは、硬い「凍結路面」に食い込み、相応の走行安定性を確保するのに寄与しました。それに比べ「積雪路面」でのスパイクピンは、いわば「糠に釘」の状態になり、ほとんど役に立たず、ために、「積雪路面」でも相当数のスリップ事故が発生したのです。しかし、近年のスタッドレスタイヤは、路面上の雪を掴み、路面に密着する機能が格段に向上し、積雪・圧雪路面では驚くほど滑りにくく、「夏場」とさほど変わりない走行安定性や制動性能を確保することができます。そのため、たとえば、どちらかといえば、積雪・圧雪路面のほうが多い「非市街地」(郊外)の「冬道」を走行してきたドライバーは、「冬道」の滑りやすさに対する警戒心が希薄となり、市街地等で多くみられる「凍結路面」でも、無警戒に積雪・圧雪路面と変わりない走行操作をしてしまいがち、それが「凍結路面」でのスリップ事故が圧倒的に多い要因の一つになっているのではないか・・・と懸念しているのです。したがって、「冬道」、特に「凍結路面」での安全運転を確保するためには、スタッドレスタイヤの性能が如何に向上したとはいえ、積雪・圧雪路面と「凍結路面」上では、走行安定性や制動性能に大きな差異がある―ということをしっかり認識し、「凍結路面」に特有のブレーキやアクセルのソフトな操作方法を各自に習得し、駆使して運転することがまず大切です。

なおまた、本州などの一部では、スタッドレスタイヤはやはり危険だから・・・ということで、スタッドレスタイヤにタイヤチェーンを装着して走行するドライバーも少なくないようですが、タイヤチェーンは、あくまでも緊急避難用具であり、タイヤチェーンを装着したまま長時間・長距離を走行するのは、せっかくのスタッドレスタイヤの優れた機能を活かせないばかりか、スタッドレスタイヤで走行する以上の危険を招く公算が大きいことも認識し直してほしいものです。特に高速道路をタイヤチェーンを装着して走行するのは危険極まりない暴挙であることを知ってほしいものです。

次に、昨今の「スリップ事故」は、「冬道」走行により適している―とされるAT車や4WD車、またはABS装備車による事故が圧倒的に多い―という点が特徴的です。もちろん、特に降雪・寒冷地では、こうした車が「冬道」走行に適している―ということで、今や保有車の大多数がこれらの車で占められるほどに普及している―ということが基本的な背景要因ではありますが、総括的にいえば、近年、飛躍的に向上普及してきた「冬道」の走行安全性能やスタッドレスタイヤ性能の向上がドライバーの運転を相当にサポートしてくれるため、かつては、正に「命がけ」で「冬道」走行の経験を積み重ねたベテランドライバーでなければ身につけることができなかった「冬道」に特有の危険を回避し、安全運転を確保するためのノウハウ(知識・技能)が必要でしたが、しかし、今日ではそうしたノウハウをあまり持ち合わせていない「初心ドライバー」でも、比較的安直に「冬道」を走行できるようになった―といえるほど、「冬道」走行の実情が様変わりしました。その結果、ドライバーの「冬道」を安全に走行するためのノウハウ(知識・技能)、すなわち、「冬道」での安全運転能力が全体的に低下してきているのではないか、それが今後の懸念材料だということです。

AT車や4WD車、またはABS装備車による事故が圧倒的に多い―、その詳細な発生状況や安全運転上の課題は次回に紹介することとし、ここでは、「安全運転を確保するためには、(車の走行安全性能が如何に進歩しても)、安全運転を確保するためのテクニック・ノウハウ(知識・技能)が厳然としてあり、それを習得し、駆使する必要がある」という、安全運転の本物の鉄則をぜひ認識してほしい、ということで、この稿を結ぶこととします。念のため、この鉄則は、「夏場」でも、もちろん同様ですが、これから到来する「冬道」では、なおさら必要不可欠の鉄則であることを申し添えておきます。
(2011年11月16日)

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