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お知らせ
2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2018年12月7日

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交通安全時評

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未曾有の東日本大震災以降、特に首都圏では自転車利用者が急増し、4月からの3か月間だけでも自転車事故が倍増している―という状況に鑑み、警視庁では自転車の違法通行の取締りを強化し、ブレーキ装置が装備されていない競輪などに使われる純然たる競技用の「ピスト」利用者などを検挙した・・・とのテレビ報道がありました。

もともと、純然たる競技用の自転車である「ピスト」で公道を通行すること自体、極めてはた迷惑で、危険極まりないことですから、これを厳重に取り締まるのは警察として当然の責務です。ただ、「見せしめ効果」を狙った一時的な対応で終わらせず、根気よく継続していってほしい・・・と願うものですが、抜本的な問題解決をせずにそれが可能なのか、大いなる懸念を抱かざるを得ません。

というのは、以前にもこの「雑記」で述べたことがありますが、「ピスト」利用者を検挙する―ということは、いわゆる「赤切符」を交付するということですが、「赤切符」が交付されると、刑事手続き(ほとんどの場合は簡易裁判)を経て、懲役または罰金刑で処罰され、いわゆる「前科一犯」となります。しかし、運転免許を保有している「自動車等」のドライバーの違反は、原則的に、いわゆる青切符(交通反則切符)が交付され、「反則金」の納入と「違反点」の付加という行政処分で済み、いわゆる「前科」にもなりません。つまり、自転車の悪質違反者の検挙が増加すれば増加するほど、片や「運転免許」という国家資格を有している自動車等のドライバーの違反者は行政処分で済むのに対し、自転車利用の違反者はいきなり刑事罰を受ける―という根本的な理不尽・不平等が拡大するからです。

緊急避難的には、自転車の悪質違反者の取締りを強化するのがベターな対応でしょうが、なべて自転車利用者の「ルール・マナー」の順守意識が乏しく、悪質違反者が急増している根底には現行の道路交通法上のいわゆる「自転車の交通ルール」の陳腐さ、難解さがあることを真摯に受け止め、その抜本的解決を目指す作業を加速させることが必要不可欠だ―というのが、この「雑記子」のたびたびの主張ですが、以下では、これまでに述べたことがない現行の「自転車の交通ルール」の陳腐さ、難解さの一例を紹介しておきましょう。

「歩行者」とみなされる「小児用の自転車」にかかわる陳腐と困惑・・・
運転免許を保有していない者はもちろん、運転免許保有者でも、果たしてどれだけ周知されているか、はなはだ疑問ですが、現行の道路交通法では、いわゆる「車両」でも「歩行者」とみなされるもの・場合があります。まず、(1)身体障害者用の車いすと歩行補助用の車等、(2)自動二輪車(原動機付自転車を含む)又は二輪か三輪の自転車を押して歩いている者、そして、(3)小児用の車、これらは「歩行者」とみなす―ということですから、たとえば、歩車道の区分がある道路では歩道を通行しなければなりませんが、なかでも、「小児用の車」が問題です。

「小児用の車」というのは、一般的に、いわゆる「乳母車」や幼児などの遊具ともいえる、いわゆる「三輪車」などの類および「小児用の自転車」をいうと考えられますが、道路交通法上にはそれに関する規定はどこにもないというのが実態です。ただ、野下文生著の「執務資料道路交通法解説」(東京法令出版)によると、「乳母車」に関しては、それを改造して「もっぱら荷物の運搬用として利用している場合は『軽車両』とみなされる」とあります。そして問題の「小児用の自転車」については、警察庁交通局編集の「交通警察質疑応答集」(東京法令出版)に、「車体が6歳未満の者が乗車する程度の大きさ(車輪の大きさがおおむね16インチ=約40cm以下)で、かつ、走行・制動・操作が簡単で速度が毎時4kmから8km程度しか出せない自転車が該当すると解する」とされており、大まかにいえば「6歳未満の幼児」が乗っている自転車ということになると思います。

現行の道路交通法には、「小児」という言葉を使いながら、「小児」の定義が欠落している―という基本的な欠陥があり、それが長年放置されてきたこと自体、驚きですが、それはさておき、一応、「6歳未満の幼児」が乗っている自転車を「小児用の自転車」とすると、それは「歩行者」とみなされるわけですから、歩車道の区分がある道路では歩道を通行しなければならないこととなります。しかし、かつて、盛んに行われ、今でも時折見かける幼稚園等での幼児を対象とした「交通安全教室」などでは、小学生などに対する教育指導と何ら変わらない「自転車の交通ルール」が平然と指導されている―というのが実態で、その奇異さを指摘すると、「将来に備えて・・・」という愚にもつかない言い訳が返ってきたことがありますが、安全確保を考慮しての「みなし歩行者」扱いの大切な本意はしっかり活かされるべきでしょう。

しかし一方、幼児の自転車利用の実態をみると、母親などと連れ立って一人前に交通手段として自転車を駆使している幼児も少なくないのが実態で、これを無視して、幼児の自転車は、あくまでも「歩行者とみなして」母親などの自転車と別な通行方法を・・・というのも非現実的です。つまり、いずれにしても現行の道路交通法では正解が出せない―ということだけは確かです。こうした現行の道路交通法による「自転車の交通ルール」の陳腐さと根本的欠陥を放置して「ルール順守」を空念仏のごとく叫び繰り返すほど「ルール順守」は形骸化するばかりでなく、むしろ、「ルール軽視」を助長する温床にもなりかねません。

自転車利用者の急増に伴い、危険な自転車利用が増加し、特に歩行者と自転車の重大事故が急増している―、交通事故で死亡した高齢者の割合が年々高くなっている、高速道路を逆走する―という、かつて、なかった事故が増加している―、高齢ドライバーによる交通事故の割合が年々高くなっている等々、新たな交通事故問題も出ていますが、ともかく、全国の交通事故件数は年々確実な減少傾向をたどっており、最大の懸案であった交通事故死亡者数は半世紀以上も前のレベルにまで激減している今こそ、ますます激変する将来社会を見据えて、現行の道路交通法の欠陥・限界等を抜本的に見直す新たな基盤づくりとなる作業に着手すべきときだと強く考えるものです。
(2011年10月19日)

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バックナンバー

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第99回
交通安全、「喫緊の課題」について考える・・・
第98回
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第82回
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「安全運転義務違反」による事故、その問題点等を考える・・・
第73回
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第71回
「自動車運転死傷行為処罰法」について考える・・・No.4
第70回
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第62回
「24時間死者数を3,000人以下とする」という目標は達成できるか・・・
第61回
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第58回
「世界一安全な道路交通を実現する」という達成目標に黄信号!?
第57回
再び、スピード規制とスピード違反取締りの問題点について考える・・・
第56回
事故実態と無縁な「スピードの出しすぎ注意!」について物申す・・・
第55回
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第54回
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第52回
61年ぶりに4,500人を下回った全国の輪禍死者、国際的にみると・・・
第51回
「冬型交通事故」の実態と「冬道」安全運転の課題 No.4
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第48回
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第39回
東日本大震災をはじめ多くの災害に見舞われた2011年だったが・・・
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第34回
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第33回
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第32回
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第31回
未曾有の大震災から露呈された「安全問題」の課題を探る・・・No.2
第30回
未曾有の大震災から露呈された「安全問題」の課題を探る・・・
第29回
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第28回
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第27回
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第26回
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第25回
「居眠り運転」の不可解・・・
第24回
「走るコンピューター」と化したクルマに潜む未知の危険・・・
第23回
「事業仕分け」で改善勧告を受けた全日本交通安全協会の事業・・・
第22回
困ったもんだよ、警視総監の「手上げ横断」セレモニー・・・
第21回
交差点での事故防止対策こそ、交通事故の減少を図る決め手・・・
第20回
先進的なハイテクにこそ、予期できぬ未知の危険が潜在している・・・
第19回
年間死者数2,500人以下を目指す、その具体的施策が見えない・・・
第18回
新政権に望む、半世紀も前につくられた道路交通法の抜本的見直し・・・
第17回
ドライバーに「安全運転教育」のニーズが不足しているのはなぜか・・・
第16回
民主党圧勝し政権交代、どうなる「高速道路無料化公約」・・・
第15回
新スタートした高齢運転者の免許更新時講習等の不可解・・・
第14回
危険運転致死傷罪認定の危うさ・・・
第13回
遅すぎる道路交通法の一部改正に伴う施行規則の改正作業・・・
第12回
交通事故死は激減しているが、関係機関・団体の財源も激減・・・
第11回
社会状況が未曾有の暗転をしたなか、交通事故死は激減したが・・・
第10回
交通事故死は激減、交通事故も減少に転じたが・・・
第9回
交通事故も減少しているが、安全活動財源も年々目減りしている・・・
第8回
シグナル・ブックレット・シリーズ、ようやく発行・・・
第7回
シグナル・ブックレット・シリーズ刊行・・・
第6回
交通事故死が激減して幸いだが、なぜかが不明なのが問題・・・
第5回
何か変、道路交通法の一部改正が施行・・・
第4回
事故現場からの警告者・故加藤正明氏を偲ぶ
第3回
事故回避の実行力、安全運転を確保するためのテクニック
第2回
雑記 第2回
第1回
雑記 第1回

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