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お知らせ
2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2018年10月15日

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交通安全時評

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今更改めていうまでもないこととは思いますが、昨年2011年(平成23年)は、いわゆる「3.11の大震災」をはじめ、台風やゲリラ豪雨による災害が全国各地を襲い、日本列島が多くの自然大災害に振り回された一年であったと記録されることでしょう。しかも、それらの被災地の多くが復旧・復興のめどすら立たないうちに越年し、特に福島原発の事故は、大震災以前に採掘され野積みされていた建設土木用の砕石が放射性物質に汚染され、その砕石を用いて建築された二本松市内のマンション1階の室内から屋外より高い放射線量が測定されるなど、放射性物質による汚染が多方面に拡大し続けており、その被害の全容はほとんど把握されていない―という状況にあります。もちろん、1,000年に一度といわれる巨大地震による自然災害に端を発したこととはいえ、高慢な「安全神話」に胡坐をかいたお粗末すぎる危機管理と安全マネージメントの欠如による明らかな人災である側面のほうがはるかに大きい―と圧倒的多数の人々が思い、国や東京電力等の危機管理統治能力に絶望している人も少なくないのが実情ですが、以下の「雑記」では、唯一の救いともいえる結果に終わった災害、すなわち、我が国で長年にわたり大きな災害(人災)として認識されてきた交通災害(交通事故)の減少について述べておきます。

1月4日の警察庁のまとめによると、昨年2011年(平成23年)の全国の交通事故死者数(24時間死者数)は4,611人で、前年に比べ252人(5.2%)少なく、2001年から11年連続して減少したことも判明しました。かつて、ピーク時には年間16,000人を超える死者数を記録し、また、1980年代後半から1990年代半ばにかけては毎年10,000人を超える死者数を記録し続けた状況からすると、2009年、2010年、そして昨年と3年連続して死者数が5,000人を割り込んだという状況は、いわゆるリーマンショックによる経済不況、国・地方自治体の財政悪化、少子高齢化による若年ドライバー層の減少、地球温暖化によるエコロジー意識の高揚などによる「車離れ」や「乗り控え」など様々な要因が考えられはしますが、にわかには信じ難い減少ぶり―というのが「雑記子」の正直な実感です。

確かに、全国で発生した交通事故(人身事故)件数も、昨年は690,907件(速報値)で、前年よりも34,866件少なく、1992年(平成4年)以来19年ぶりに70万件を下回り、負傷者数も前年より44,114人少ない852,094人(速報値)にとどまり、2005年(平成17年)から7年連続減少を記録しています。しかし、年間の交通事故(人身事故)発生件数が70万件を下回り、695,345件にとどまった1992年(平成4年)の死者数が11,451人であったことを鑑みれば、この3年来、死者数が5,000人を下回ったというのは、なおさら信じ難い劇的すぎる減少といわざるを得ません。もちろん、1992年(平成4年)当時に比べ、確かに、車の衝突安全性能や救急救命医療が飛躍的に向上・高度化したなど、死亡事故減少に結びつくと思われる状況変化が考えられはしますが、一方で国や地方自治体及び交通安全関係団体等の財政悪化が年々急速に進み、各種の交通安全対策に投じられる費用は年々削減され続けた結果、交通安全対策の総量は、少なくとも1992年(平成4年)当時に比べ、確実に減少しています。また、交通安全対策の質が飛躍的に向上したとも思えません。したがって、強いていえば、これまでの長年にわたる諸対策の積み重ねがようやく実を結んできた結果だとみるのが最も妥当なのかもしれませんが、それにしても、にわかには信じ難い激減ぶりだと思わざるを得ないのです。

ちなみに、年間の交通事故死者数が5,000人を下回っていたのは、実に半世紀以上も前の1952年(昭和27年)以前のことで、その当時の道路交通状況と今日のそれを比較すれば、質・量ともにあまりにも大きな違いがあります。それだけに、繰り返しになりますが、にわかには信じ難い不可解な朗報だと思わざるを得ないのですが、ともあれ、大災害が相次いで発生したなか、最も身近な交通事故災害による死者数が劇的な減少傾向をたどったことは大いに歓迎すべき朗報であることは確かでしょう。

なおまた、昨年2011年(平成23年)は、国の「第9次交通安全基本計画」のスタート年であり、同年3月に中央交通安全対策会議(会長・内閣総理大臣)で決定された「基本計画」には、第9次の基本計画の最終年に当たる平成27年までに(1)24時間死者数を3,000人以下とし、世界一安全な道路交通を実現する、(2)年間の死傷者数を70万人以下とする―という2つの目標を掲げています。また、政府は、この「第9次交通安全基本計画」の目標とは別に、「平成30年までに24時間死者数を2,500人以下とし、世界一安全な道路交通を実現する」という目標をも掲げていますが、この数年来の減少傾向が続く限り、この「基本計画」に掲げた目標や政府目標の達成も実現性が非常に高いと考えられます。しかし、国や地方自治体等の財政悪化により、国、地方自治体ともに交通安全対策関係予算が年々縮減され、また、かつては、大半の市町村で専任の交通安全推進業務担当者がいたものですが、近年では、ほとんどが他の業務との兼任者になっているなど、市町村自治体での交通安全推進体制の弱小化が進行し、民間でも交通安全指導員などの高齢化と人員の減少が進み、いわゆる交通安全運動の現場の担い手も弱体化し、さらにはまた、いわゆる交通安全教室や交通安全研修会なども数量的に明らかに減少しているなどの状況を勘案すると、この数年来の減少傾向がこのまま着実に進んでいくための確固たる裏づけはほとんど見当たらない―というのが実情です。そのうえ、この目標自体、ほとんどの人々に知られていないという現状ですから、何とも心もとない限りです。

ともあれ、交通安全対策のこうしたお寒い状況にもかかわらず、交通事故の発生件数とその死者数が減少傾向をたどってきたことは確かですから、まさに「ラッキー!」と思わざるを得ませんが、「再生日本」のスタートが切れるかどうかが注目されるこの新年、2012年もせめて交通事故(死)減少の「ラッキー!」が続くことを願ってやみません。
(2012年1月18日)

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バックナンバー

第117回
クルマ社会の大革命―自動運転(走行)車の実用化が迫っている今、半世紀以上も前に制定された道路交通法の大改革が必要不可欠・・・No.2
第116回
クルマ社会の大革命―自動運転(走行)車の実用化が迫っている今、半世紀以上も前に制定された道路交通法の大改革が必要不可欠・・・
第115回
道路交通法の「安全運転義務」を緩和するだけで「レベル3」相当の自動運転(走行)車の実用化を促進するのは拙速・乱暴な方策だ・・・
第114回
次代を担う子供のかけがえのない命を社会全体で交通事故から守るには、事故発生状況を分析し、特徴等を的確に把握することが出発点となる・・・
第113回
次代を担う子供のかけがえのない命を社会全体で交通事故から守ること、その重要性・必要性が一層高まっているが、諸対策は進捗していない・・・
第112回
関連法の整備、国民・ユーザーへの周知・理解を得る動き等が鈍いまま性急に突き進む「自動走行車」実用化の動きに再び危惧を呈する・・・
第111回
問題ではないのか―、交通事故は半減、死者数も激減しているのに、「類型別」発生状況の基本的構図に変化が認められないのはなぜか・・・
第110回
全国の交通事故死者数、68年ぶりに最少記録を更新、慶事ではあるが、にわかには信じ難い「怪」記録である側面にこそ考慮・・・
第109回
最高速度・規制速度の見直し、ようやく着手、そも、現行法の速度規定が半世紀以上も前の遺物なのが根本的問題・・・
第108回
EV・FCV、自動走行車の実用化は道路交通史上の大革命、 なのに消費者・市民は「蚊帳の外」では無用の混乱と弊害を招く・・・
第107回
関連法等の抜本的改正など社会的環境整備の進捗状況が見えぬままに進められる「自動走行」実現化に向けた実証実験等性急な動きを懸念・・・
第106回
夜間の歩行者の死亡事故防止は重要課題だが、その解決のためにも、なぜ、日本は歩行中の死者数の割合が高いのかの検証が必要不可欠・・・
第105回
交通安全対策は国・政府の責務、警察主導の交通安全対策を憂う・・・
第104回
これでいいのか、企業等「組織」の業務上過失致死傷罪は無罪放免?・・・
第103回
「自動運転車」の実現化、そんなに急いで大丈夫なのか・・・
第102回
「高齢者講習」や「認知機能検査」の予約を取るのが大変だ!?・・・
第101回
「人対車両」の事故と「歩行中」の事故との違いについて考える・・・
第100回
「自動運転の実用化」にかかわる関連法整備上の問題点・・・
第99回
交通安全、「喫緊の課題」について考える・・・
第98回
果たして、高齢ドライバー対策は今後の交通安全問題の核心なのか・・・
第97回
首相指示「喫緊の課題」、高齢ドライバーの事故防止対策について・・・
第96回
「高速道の最高速度110キロ試行」に関連して・・・
第95回
「日本の自転車交通の混迷」を読んで・・・
第94回
「自動運転」車開発の現状と課題を考える・・・No.3
第93回
「自動運転」車開発の現状と課題を考える・・・No.2
第92回
「自動運転」車開発の現状と課題を考える・・・
第91回
第10次「交通安全基本計画」を点検する・・・No.3
第90回
第10次「交通安全基本計画」を点検する・・・No.2
第89回
第10次「交通安全基本計画」を点検する・・・
第88回
「観光バス事故」の惨劇に続いてトラックのトンネル火災事故、いずれも「規制緩和」による深刻な副作用、関係当局の対応に疑義あり・・・
第87回
続発する「観光バス」事故から見える「安全第一」の空念仏を嘆く・・・
第86回
2015年、「第9次交通安全基本計画」の目標は達成できずに終わった・・・
第85回
「小樽飲酒ひき逃げ事件」札幌高裁控訴審判決について考える・・・
第84回
繰り返される特設自転車レーンの「社会実験」、いまさら何を検証する?
第83回
ブレーキとアクセルの踏み違い等「操作不適」事故について考える・・・No.2
第82回
ブレーキとアクセルの踏み違い等「操作不適」事故について考える・・・
第81回
国民の「安全」にかかわる2つの厄介な問題について考える・・・
第80回
自転車悪質運転に「安全講習」が義務化されたが・・・
第79回
4年に1度、変則5月実施の春の全国交通安全運動・・・
第78回
人身事故は確かに減少しているが物損事故はどうなっているのか・・・
第77回
道路交通法の一部改正の動向とその問題点の根源を考える・・・
第76回
高齢運転者の認知症検査強化策を考える・・・
第75回
交通安全対策の根源的糧となる交通事故統計にまとわる疑義・・・
第74回
「安全運転義務違反」による事故、その問題点等を考える・・・
第73回
「冬道の安全運転」に対する関心が薄れているのではないかと懸念する・・・
第72回
自転車の安全対策、本気と抜本策が求められる・・・
第71回
「自動車運転死傷行為処罰法」について考える・・・No.4
第70回
「自動車運転死傷行為処罰法」について考える・・・No.3
第69回
「自動車運転死傷行為処罰法」について考える・・・No.2
第68回
「自動車運転死傷行為処罰法」について考える・・・
第67回
減少し続ける「子ども人口」、子どもの安全を守ることの重要さを考える・・・
第66回
高齢者の交通事故死傷者の実態を検証しておこう・・・
第65回
「安全思想」、「安全文化」を考える・・・
第64回
都心に45年ぶりに25cm以上の積雪、「冬道」運転のイロハ無知を嘆く・・・
第63回
2013年の全国死者数、前年に引き続き4,500人を割り込んだ・・・
第62回
「24時間死者数を3,000人以下とする」という目標は達成できるか・・・
第61回
危険運転の罰則強化、「自動車運転」だけを特別視する風潮に疑義・・・
第60回
高齢ドライバーの事故実態、一律に危険視するのは非常に問題!
第59回
「秋の全国交通安全運動」を機に、再び「手上げ横断」の奇怪を問う!
第58回
「世界一安全な道路交通を実現する」という達成目標に黄信号!?
第57回
再び、スピード規制とスピード違反取締りの問題点について考える・・・
第56回
事故実態と無縁な「スピードの出しすぎ注意!」について物申す・・・
第55回
道路交通法と道路運送車両法の整合性について考える・・
第54回
再び、「自転車の交通ルール」の不可解を考える・・・
第53回
通行空間が未整備では、罰則強化等で自転車の安全確保はできない・・・
第52回
61年ぶりに4,500人を下回った全国の輪禍死者、国際的にみると・・・
第51回
「冬型交通事故」の実態と「冬道」安全運転の課題 No.4
第50回
「冬型交通事故」の実態と「冬道」安全運転の課題 No.3
第49回
「冬型交通事故」の実態と「冬道」安全運転の課題 No.2
第48回
「冬型交通事故」の実態と「冬道」安全運転の課題
第47回
東京都自転車対策懇談会の提言を考える・・・
第46回
本末転倒、枝葉末節すぎる「自転車の押し歩き推奨」対策・・・
第45回
「近代刑法貫く『意思責任』、結果軽視の弊害、修正を」を考える・・・
第44回
「危険運転致死傷罪」、「自動車運転過失致死傷罪」を考える・・・
第43回
あふれる「安全第一」のスローガンと、安全対策のギャップを埋めない限り・・・
第42回
交通安全指導に当たる者は、まず自らしっかり「ルール」を学習せよ!
第41回
唖然!「飲酒検出値偽造による検挙」、交通取締りの原点を確認せよ・・・
第40回
交通事故、「類型別」発生状況の不可解・・・
第39回
東日本大震災をはじめ多くの災害に見舞われた2011年だったが・・・
第38回
冬道でのスリップ追突事故の実態から学ぶ安全運転のポイント
第37回
大震災の被災地にも冬将軍が襲来、冬道での安全運転を願って・・・
第36回
陳腐で難解な「自転車の交通ルール」を再び検証する・・・
第35回
一般道をブレーキ装置がない「ピスト」で疾走する自転車集団暴走族・・・
第34回
自転車道や自転車通行帯に一方通行を導入する予定だそうだが・・・
第33回
大災害による悲惨な惨状と「なでしこジャパン」が教えてくれたもの・・・
第32回
大震災から露呈された「安全問題」はいまだに虚しく空回りしている・・・
第31回
未曾有の大震災から露呈された「安全問題」の課題を探る・・・No.2
第30回
未曾有の大震災から露呈された「安全問題」の課題を探る・・・
第29回
「安全運転義務違反」による事故の増加、その問題点と課題を探る・・・
第28回
減少し続ける全国の交通事故死、その現状に潜む課題を探る・・・
第27回
最多の事故類型、追突事故の意外な実態と事故防止のポイント・・・
第26回
無知なのか、怠慢なのか、放置される違反自転車摘発の根本問題・・・
第25回
「居眠り運転」の不可解・・・
第24回
「走るコンピューター」と化したクルマに潜む未知の危険・・・
第23回
「事業仕分け」で改善勧告を受けた全日本交通安全協会の事業・・・
第22回
困ったもんだよ、警視総監の「手上げ横断」セレモニー・・・
第21回
交差点での事故防止対策こそ、交通事故の減少を図る決め手・・・
第20回
先進的なハイテクにこそ、予期できぬ未知の危険が潜在している・・・
第19回
年間死者数2,500人以下を目指す、その具体的施策が見えない・・・
第18回
新政権に望む、半世紀も前につくられた道路交通法の抜本的見直し・・・
第17回
ドライバーに「安全運転教育」のニーズが不足しているのはなぜか・・・
第16回
民主党圧勝し政権交代、どうなる「高速道路無料化公約」・・・
第15回
新スタートした高齢運転者の免許更新時講習等の不可解・・・
第14回
危険運転致死傷罪認定の危うさ・・・

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