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2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2018年10月15日

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交通安全時評

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前々回、前回に引き続いて、いわゆる「冬道」での「スリップ事故」の発生状況とその防止のための安全運転のポイント等について述べていくことにします。まず、前回には、「スリップ事故」の圧倒的多数を占めている「追突」事故について、いわゆる「市街地」のアイスバーン等の「凍結路面」で多発し、その圧倒的多数が「ブレーキ操作の遅れ・緩慢」とか「ブレーキ不十分」というブレーキングのミスが決定的原因となって発生している、したがって、たとえ、アイスバーンであっても、追突事故の危険が差し迫った緊急時には、躊躇することなくブレーキを素早く力いっぱい踏む―という「緊急時のブレーキテクニック」を駆使することが必須であるということを述べました。また、その「緊急時のブレーキテクニック」はABS車(アンチロック・ブレーキシステム装備車)の場合もまったく同様で、これを駆使するためには、機会をみつけ、然るべき指導者の下で一度、正規のトレーニングを受けるのが望ましいことですが、そうした機会が身近にない場合やトレーニングを受けた後でも、日常の運転時に1回、安全が十分に確保できる場所で、20キロ前後の走行速度で十分ですから、アクセルから素早く足を踏みかえてブレーキを力いっぱい踏み込む―というトレーニングを繰り返すことが有効であることも申し添えました。

そこで本稿では、まず、「冬道」での追突事故を防止するために「緊急時のブレーキテクニック」の習得・駆使が必須・有効であることを示すもう一つの事故統計データを紹介しておきます。北海道警察交通部が調査集計した「冬道」での「スリップ事故」の「事故直前速度別」の発生状況を検証してみると、「スリップ追突事故」の70%以上は時速30キロ以下の「直前速度(危険認知速度)」で発生しており、時速40キロ以下でくくると、実に90%以上にもなるという実態にあります。つまり、「冬道」での「スリップ追突事故」のほとんどは、思いのほか低速度域で発生しているということです。だからこそ、追突事故の危険が差し迫った緊急時には、躊躇することなくブレーキを素早く力いっぱい踏む―という「緊急時のブレーキテクニック」を習得・駆使することが必須かつ有効なのです。すなわち、時速30キロ前後の低速度域では、「冬道」のアイスバーン上でブレーキを素早く力いっぱい踏んでも、タイヤロック(回転が止まる)状態にはなりますが、ブレーキとハンドルの同時操作をしない限り、また、左右のタイヤの空気圧・摩耗等が極端に不均衡であったりしない限り、タイヤはロックしたまま、慣性の方向に直線的に滑走しますが、ブレーキを踏んだとたんに、いわゆる「尻振り」や「スピン」などといわれる車体の横滑りや旋回現象を招くことはまずありません。特に近年の多くのクルマはABSなどの横滑り防止の先進的な予防安全技術が取り入れられていますので、時速30キロ前後でのロック・ブレーキで「尻振り」や「スピン」を招くことはないと認識し、緊急時には、躊躇することなく素早く力いっぱいブレーキを踏むことが肝心です。

なお念のため、この「緊急時のブレーキテクニック」を駆使してタイヤがロックされ路面を滑走しているときも路面の細かな凹凸などの抵抗を受けて相応の制動力が発揮され走行速度は次第に低下しますが、それでも安全に停止しきれないと判断した場合は、ハンドル操作で衝突を回避する措置を講じなければなりませんが、まず、ABS車の場合、ブレーキをしっかり踏み込んだまま(ABSを作動させたまま)でハンドルを操作し、衝突回避に必要な進路修正をする―ということが重要なポイントです。というのも、承知の方も少なくないとは思いますが、ABSは、アイスバーン等の滑りやすい路面でブレーキを強く踏みすぎても自動的に小刻みな「ポンピングブレーキ」を行うことで車輪ロックを防ぎ、ベターな制動力を保ちつつ、ブレーキング中にハンドル操作不能に陥ることを防ぐ―というのが本来の機能目的だからです。しかし、長年にわたりABS車以外のクルマを運転し、「冬道」を走り慣れているドライバーほど、ハンドルで危険を回避する瞬間、長年の経験からか無意識にもブレーキを緩めてしまいがちです。つまり、ABS車以外のクルマでは、ブレーキを緩めて車輪ロックを解消しないと、いくらハンドルを操作しても進路を修正することができないからですが、ABS車ではブレーキング中でもハンドル操作が可能ですから、このことをしっかり認識し、いざ、という時に即実行できるように、ある程度のトレーニングを積んでおくのがよいでしょう。ただし、ABS作動中のハンドル操作は非作動時に比べて鈍くなりますので、その点も十分に認識しておくことが必要です。

なお、以上の「緊急時のブレーキテクニック」は、決して「冬道」にのみ有効な特別のテクニックではなく、夏場の緊急時、特に追突の危険が差し迫った緊急時にも必要不可欠なテクニックですから、しっかり習得し、確実に駆使できるようにしておくと、安全運転確保のレベルが飛躍的にアップできると確信されます。ちなみに申し添えれば、公益財団法人交通事故総合分析センターがまとめている全国の交通事故統計データを基に検証してみると、年間でも「追突」事故が最多の「事故類型」になっており、そのおよそ70%は「市街地」の道路で発生、「事故直前速度」をみても時速30キロ前後で発生したものが80%以上を占め、しかも、その90%近くがすでに停止している前車に衝突している―という状況にあります。つまり、「冬道」での「スリップ」による「追突」事故の発生状況とほぼ同様の発生状況にあるということです。ただし、通年での「追突」事故の発生状況と、「冬道」での「スリップ」による「追突」事故の発生状況の違いをあえてとり挙げれば、いずれも「安全運転義務違反」が主因とされた事故が95%以上を占めていますが、その具体的内容項目をみると、「冬道」での「スリップ」による「追突」事故は、先に紹介したように、「ブレーキ操作不適」が主因となった事故が圧倒的に多いのに対し、通年での「追突」事故では「漫然運転」や「脇見運転」などの「前方不注意」が主因となった事故が大半を占めている―という違いが認められます。しかし、それとても、追突の危険が差し迫った緊急時に、素早く力いっぱいブレーキを踏み込んでいれば、すなわち、先に紹介した「緊急時のブレーキテクニック」を駆使できていれば衝突は回避できた―と思われるケースが圧倒的に多いのが実情です。だからこそ、「緊急時のブレーキテクニック」をしっかり身につける―ということが今後の安全運転をより確かなものにするための必須の課題なのです。

以上、「冬道」での「スリップ事故」について、そのおよそ80%が「市街地」で発生しており、「市街地」での「スリップ事故」の大半、およそ60%は「追突」事故であるという実情に鑑み、「スリップ」による「追突」事故の発生状況とその防止策のポイントについて述べてきました。そこで次には「冬道」での「スリップ」による死亡交通事故の発生状況を検証してみることにします。まず、20年余前の1991年4月に「スパイクタイヤ」の販売が全国的に禁止された前後、いわゆる「脱スパイク」が実施されれば「スリップ」による死亡交通事故が増加する―という懸念が少なからず叫ばれましたが、結果は、その懸念がまったくの杞憂に終わり、北海道内での「スリップ」による死亡交通事故が減少傾向を辿ったばかりではなく、「スリップ事故」そのものの多発化も認められませんでした。近年に限ってみても、「スリップ事故」は確実に減少傾向を辿り、10年前に比べ半数以下にまで減少しており、なかでも「スリップ事故」による死者数は劇的な減少傾向を辿り、10年前の4分の1ほどに減少し、1シーズン20人前後というレベルにとどまっていますが、以下、参考までに「スリップ事故」による死者の発生状況を紹介しておきましょう。

まず、「スリップ事故」による死者の「地形別」発生状況を検証してみると、「道路に沿っておおむね500メートル以上にわたって住宅、事業所等が連立している状態であって、その地域における建造物(敷地を含む)の占める割合が80%以上になるいわゆる市街地的形態をなしている地域」と定義される「市街地」の道路での死者は少なく20%未満にとどまり、80%以上の死者は「非市街地」の道路での事故によるという実態にあります。また、「非市街地」での「道路形状別」の「スリップ事故」による死者の発生状況をみると、「カーブ」と「一般単路(直線部)」での事故による死者がほぼ半々という状況にあり、夏場に比べると「カーブ」の占率が高く、「冬道」の「カーブ」では死亡事故に繋がる「スリップ事故」が発生しやすい―という特徴が認められます。そこで次に、どのような「類型」の事故による死者が多いのかを検証してみると、「正面衝突」と「単独」による事故の死者がほとんど(90%近く)を占め、なかでも「正面衝突」事故による死者が60%以上を占め圧倒的に多い―という大きな特徴が認められます。そこで次回では「冬道」での「スリップ」による「正面衝突」事故の発生状況等を紹介することとし、この稿を閉じることにします。(次回に続く)
(2012年12月13日)

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