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2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2018年10月15日

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交通安全時評

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テレビ等のニュース報道によると、去る2月22日、警視庁は交通量が多い都内97カ所の交差点に朝から夕方まで警察官を配置する取り組みを開始した―とのことです。交差点に配置された警察官は、交通ルールを守らないドライバーや自転車、歩行者に警笛を鳴らして指導するとともに、警察官の存在感を示し、都内全体の交通事故防止につなげるのが目的で、今年末まで実施する予定だとのことです。

周知のように、この数年、全国の人身交通事故発生件数は減少化の傾向をたどっており、特に死亡事故の減少は著しく、昨年はついに死者数が5,000人台をも割り込み、半世紀以上も前のレベルに匹敵するほどまでに減少しました。こうした状況を受けて、国家公安委員会は「平成30年を目途に、交通事故死者数を半減させ、これを2,500人以下とし、世界一安全な道路交通の実現を目指す」という委員長コメントを発表していますが、この目標を達成するためにも、交差点での事故防止を優先的に推進することが極めて重要です。

なぜなら、交通事故統計を分析してみると、全国で発生した人身交通事故の45%ほどは交差点(内)で発生しており、交差点付近(およそ30m以内)での事故を加えると55%余りにもなり、死亡事故に限ってみても、その45%余りが交差点およびその付近で発生しているという状況にあるからです。それだけに、冒頭で紹介した「交通量が多い交差点に朝から夕方まで警察官を配置する」という警視庁の新たな取り組みは大いに評価されるものです。だからこそ、警視庁のみの取り組みではなく、警察庁が先頭に立って全国的な取り組みに発展されることを切望します。

ちなみに、これまでの交通警察の取締り指導の一端を「違反種別交通法令違反取締件数」の統計データから垣間見ると、かつては、「最高速度違反」と「駐停車違反」の二つの違反検挙件数だけで50%以上を占め、少なくとも取締りが速度違反と駐停車違反に傾注していたと思われることもありましたが、近年は、いわゆる「放置駐車」の取締りの「民間委託」実施の影響を受けてか、「駐停車違反」の検挙実数や比率が大幅に減少しているという変化がみられるものの、「最高速度違反」の検挙件数の比率は依然として30%以上を占め、取締り対象の主力になっていることがうかがえるほか、特にこの3年間ほどは、「運転中の携帯電話使用等」違反の検挙比率が急激に増大しているという変化がみられますが、「交差点事故」にかかわる「信号無視」や「一時停止違反」、「歩行者妨害違反」の検挙比率はほとんど変化がなく、これら三つの違反検挙数を合計してみても全体の4分の1に満たなく、交差点での取締り指導が、どちらかといえば手薄になっているのではないかと思われる状況にあります。しかし、先にも紹介したように、交通事故の半数以上が「交差点事故」という事故実態を踏まえれば、このたび、警視庁が新たな施策として踏み出したように、多くの交差点に警察官を配置し、ドライバーや自転車、歩行者の取締り指導にあたる―という交通警察による交通取締り指導の在り方の転換が必要です。

また、テレビ等のニュース報道では、警察官を配置する交差点は、「交通量が多い都内97カ所の交差点」とだけあり、それ以外の詳細情報がありませんが、実際の交差点の選定にあたっては、あるいは、過去の事故発生状況等も加味されているのかもしれませんが、もし、ニュース報道の通り、「交通量が多い交差点」という要件のみでの選定であるならば、「警察官の存在感を示し、都内全体の交通事故防止につなげる」という点では相応の効果が期待できるかもしれませんが、肝心の「交差点事故」の防止という点では、いささかの懸念が残ります。

その第一は、「交通量が多い交差点」は、必ずしも「事故多発交差点」と同一であるとは限らないからです。少なくとも、都内の「交通量が多い交差点」のほとんどは「信号がある交差点」だと思いますが、全国統計による「交差点事故」の分析結果では、「交差点事故」の60%以上は「信号がない交差点」で発生しており、その「信号がない交差点」は比較的交通量が少ない交差点であるというのが一般的だからです。つまり、「交差点事故」を防ぐという観点からすれば、「交通量が多い交差点」よりも「事故が多発している交差点」に警察官を配置するほうがより効果的だと考えられるのです。もっとも、都内の道路交通状況は、質量ともに他県の道路交通状況とかなりの差異がありますので、全国統計による「交差点事故」の分析結果と違って、「交通量が多い交差点」の多くが「事故多発交差点」でもあるのかもしれませんが、いずれにしても、「事故多発交差点」にこそ優先的に警察官を配置すべきで、特に地方の警察において、この対策を取り入れる場合は、この観点から警察官を配置すべき交差点の選定にあたってほしいものです。

特に、死亡事故となった「交差点事故」の圧倒的多数は、車同士の「出会い頭の衝突事故」や対歩行者・自転車事故で、その大半が、いわゆる「住宅地」などの交通量が比較的少ない道路に圧倒的に多い「信号のない交差点」で発生している―というのが厳然たる実態ですから、警察官を常時的に配置するべき交差点の選定にあたってはこの点を十分に留意してほしいものです。ちなみに、いまだに、違反検挙件数の多数を占めている「最高速度違反」の取締り現場の多くが、事故多発地域とはあまり関係のない、いわば「取締りしやすい場所」で行われている―という批判が少なくないのも実情ですから、交差点に警察官を常時的に配置する―という新たな施策の実施にあたっては、このようなミスマッチが生じないように真摯な対応を願ってやみません。
(2010年3月20日)

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