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2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2018年12月7日

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交通安全時評

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毎年恒例の秋の全国交通安全運動も終わって、今年も早や10月、10月1日まとめの警察庁データによると、その秋の全国交通安全運動期間中の全国の交通事故による死者数は133人で、昨年同期よりも2人の増という結果だったそうですが、都道府県によっては昨年同期よりも減少したところも少なくなく、全国的な死者数の減少傾向は持続しているとみられるので、この状況で推移すれば、全国の今年末の交通事故死者数は前年とほぼ同等か、若干減少し、また、人身交通事故の発生件数も前年を下回るだろうことが予測できます。しかし、周知のように、平成18年度を初年度とする国の「第8次交通安全基本計画」では、「計画」の最終年となる平成22年までに年間の24時間死者数を5,500人以下とし、年間の死傷者数を100万人以下とすることを目指す―という目標を掲げており、昨年は既にその目標をクリアし、今年もその目標をクリアできそうな状況で推移していますが、明年の最終年にこそ、引き続きその目標がクリアされなければ、目標達成の意義も半減してしまいます。

それ故にこそ、今後の確たる安全対策の着実な推進こそが重要となりますが、その核は、何といっても、ドライバーの安全運転能力の更なる向上を図るための安全運転教育の質的改善にあると考えます。というのも、近年、いわゆる「少子高齢化」の影響が顕著になり、特に30歳未満の若い年齢層のドライバー(運転免許保有者)および彼らによる事故は年々減少し、40歳以上の運転免許保有者が60%以上を占め、人身交通事故、死亡事故ともに、その40歳以上の中高年ドライバーによるものが大半を占め、その率も年々増加する傾向にあるからです。しかも、そうした中高年ドライバーの圧倒的多数は、「運転免許取得後の経過年数」が10年以上、20年以上という、いわゆる「ベテランドライバー」です。したがって、今後のドライバー対策は、そうした中高年ドライバー・ベテランドライバーの安全運転能力の向上を図ることが重要となります。

そこで問題は、そうした中高年ドライバー・ベテランドライバーに対する安全運転教育を推進していくために何が必要か―ということであり、その点の検討が必要不可欠だと考えます。周知のように、近年は免許更新時における高齢運転者の別立て講習受講の義務化とか、75歳以上の高齢ドライバーに対する、いわゆる「認知機能検査」の義務化といった改善整備が実施されていますが、それらはあくまでも70歳以上の高齢ドライバー対策であり、しかも、たとえば、「高齢者講習」の内容等は1度目も、2度目もほとんど同様のもので、そのことなどに不満をもらす受講者も少なくなく、また、新規導入の認知機能検査も、その検査結果の自覚を促す程度のもので、安全運転能力の向上に寄与する点では、極めて不十分なものです。そして何よりも、40歳以上70歳未満のドライバーに対する対策は何もないという実情が最大の問題点です。この年齢層のドライバーこそが運転頻度も高く、事故発生の危険度も最も高いにもかかわらずです。

とはいっても、これらの年齢層に対する教育・講習機会を制度化すべし等と考えるものでは決してありません。彼ら自身が自らの安全運転能力の更なる向上を図る学習意欲をもち、日頃から安全運転能力向上のための努力をすること、そうした状況を作り出すことが必要不可欠だと考えるものです。というのも、この年齢層に限らず、ドライバー全体に、自らの安全運転能力の向上を図るためには、日頃からの学習や努力の継続が必要不可欠だ―という考え方自体が皆無に等しいというのが実態だからです。あるいはまた、安全運転教育といえば、交通マナー、交通ルール遵守、安全意識の向上などといった「精神論」や「倫理の問題」という理解が定着し、継続的な学習や努力の必要性・ニーズが基本的に欠如しているからです。

今後の安全運転教育、特に40歳以上70歳未満のベテランドライバーに対する安全運転教育は、「安全運転を確保するためには、安全運転を確保するためのテクニックが厳然としてあり、これを習得し、駆使することが必要である(BMWドライバー・トレーニングカリキュラム基本理念)」とか、「いわゆる安全意識とは、主に動機の側面に訴えるもの(動機づけ)であり、安全意識(動機づけ)が高まれば、即、安全行動が実現するとは限らない。安全のためには、具体的な事故回避の手段の実行力を高めなければならない(吉田信彌・東北学院大学教授・中公新書『事故と心理』06.8)」といった考え方の普及・浸透が必要ですが、そのためには、まず、これまで、なぜ、このような考え方が根づかなかったのか、これまでの安全運転教育にはどのような問題点があったのか―を改めてしっかり押さえておくことが必要ですが、これらに関し、明確・簡潔に論じている一文がありますので、以下にそれを紹介し、今回の「雑記」の結びとしておきましょう。
(2009年10月6日)

交通事故は、事故の当事者が「一時停止や徐行をしなかった」などといった、交通ルール通りの安全な行動(運転)をしなかった結果として起こっている。しかし、多くの交通事故は、このような顕在的なものよりも、潜在的なことが真の原因として起こっているのである。すなわち、「脇見をしていた」とか、「危険でないと思った」などといった、「(危険の)発見遅れ」、あるいは、読みや判断の甘さが原因で起こっているのであり、決して、交通ルールを知らなかったことが原因で起こっているのではないのである。
   このような実態にもかかわらず、安全教育の重点を、交通ルールや上滑りの安全運転知識に向け、「一時停止をしなさい」とか、「カーブの手前で十分スピードを落としなさい」などと、いくら強調したところで、どれほどの効果があるだろうか。有効な教育をするためには、読みや判断の甘さを生じさせないように、交通ルール等の背景になっているもの、あるいは、安全運転に必要な知識や技術を正しく理解させることによって、「危険なことを危険であると感じさせる」ことが最も大切なのである。危険な理由を納得させないで、単に交通ルールの遵守を訴えても、効果がないばかりか、受講者に反発心を起こさせないとも限らないのである。このように、無意味な教育は、逆に有害であることを肝に銘ずべきである。

村上謙吉・警察庁交通局運転免許課長補佐(当時)「運転者教育の新しい展開」(1983.7『月刊交通』所載)より要旨抜粋

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第30回
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第21回
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第20回
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第18回
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第17回
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第16回
民主党圧勝し政権交代、どうなる「高速道路無料化公約」・・・
第15回
新スタートした高齢運転者の免許更新時講習等の不可解・・・
第14回
危険運転致死傷罪認定の危うさ・・・
第13回
遅すぎる道路交通法の一部改正に伴う施行規則の改正作業・・・
第12回
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第11回
社会状況が未曾有の暗転をしたなか、交通事故死は激減したが・・・
第10回
交通事故死は激減、交通事故も減少に転じたが・・・
第9回
交通事故も減少しているが、安全活動財源も年々目減りしている・・・
第8回
シグナル・ブックレット・シリーズ、ようやく発行・・・
第7回
シグナル・ブックレット・シリーズ刊行・・・
第6回
交通事故死が激減して幸いだが、なぜかが不明なのが問題・・・
第5回
何か変、道路交通法の一部改正が施行・・・
第4回
事故現場からの警告者・故加藤正明氏を偲ぶ
第3回
事故回避の実行力、安全運転を確保するためのテクニック
第2回
雑記 第2回
第1回
雑記 第1回

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