★周知のように、来る6月1日から道路交通法の一部改正が施行されます。このたびの改正点は、後部座席でのシートベルト着用の義務化、高齢運転者マークの75歳以上の義務化、自転車の通行方法の一部改正などですが、その一部改正を受けて取締り等にあたる一線の警察現場や、広報・指導活動にあたる市町村など地域の関係機関・団体の関係者は前代未聞の事態に困惑し、いらだっています。そのあおりを受けて、その広報資料の編集製作に携わっている弊社も、この2ヶ月ほど、戦々恐々の日々をすごしてきました。まったくの弁解ではありますが、この雑記の改訂が前回から1ヶ月ほども遅れてしまったのも、その戦々恐々の日々と無縁ではありません。
★というのは、道路交通「法」の改正そのものは、昨年2007年6月20日に公布され、その改正大綱はテレビ・新聞等のメディアでもすでにたびたび報じられていますが、改正法施行に伴う詳細事項は施行令(政令)または施行規則(内閣府令)で定められることになっていますので、その政令や施行規則の一部改正が公布されない限り、正確な改正内容が把握できないわけです。従前は、少なくとも施行日の3ヶ月前から2ヶ月前には政令や施行規則の一部改正も公布されていましたが、今回は、なぜか、政令や施行規則の一部改正の公布が非常に遅れ、政令の一部改正が公布されたのが4月の25日、施行規則の一部改正は、施行日が2週間ほどに迫った5月20日にようやく公布された結果、改正詳細の事前広報はほとんどできないという事態を招いているからです。
★さらに最悪なことには、今度の改正には内閣府だけではなく国土交通省が関係する規則の「道路標識・標示令」(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令)の一部改正も必要ですが、施行日まで10日足らずに迫った今日現在(5月23日)に至ってもまだ、それが公布されておらず、弊社の取材調査の結果によると、道路標識・標示令の一部改正の公布は、結局、6月1日以降になり、1年も前から決まっていた道路交通法の一部改正が、そのすべての材料がそろわないままに見切り発車するという異例の事態を迎えることになります。
★ちなみに、その道路標識・標示令の一部改正とは、2点です。ひとつは、普通自転車の歩道通行可を示す路面標示(道路標示)で、従前には同趣旨の道路標識は定められていましたが、道路標示は未制定でした。もうひとつは、道路交通法第48条の駐車・停車の方法に関する特例にかかわる「直角駐車」または「斜め駐車」、「平行駐車」を示す3種類の道路標識で、従前は、道路標示のみであったものを新たに道路標識も制定するというものです。いずれも、仮にこの一部改正が事前に整って公布されていても、実際に標示されるのは、取り付け工事等の関係で6月1日以降のことになるものでしょうから、見切り発車もたいした害はないとも考えられますが、一部改正による広報や指導にかかわる者にとっては、はなはだ迷惑な見切り発車であることは否定できません。このような事態を二度と起こさないようにと切に願ってやみません。(2008年5月23日)