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2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2018年12月7日

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交通安全時評

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21世紀も早や10年目、平成になってからでも22年目の新年を迎えました。まさしく「光陰矢の如し」を痛感している次第ですが、いうまでもなく、「光陰矢の如し」というのは、年月の過ぎ去るのが速いことを意味する用法として、なかでも中高年の方々にはなじみの故事慣用の言葉ですが、本来は、「年月の過ぎ去るのは速く、いったん過ぎ去った年月は再び帰らない、だから無為に過ごすな」という戒めの言葉だそうで、出典は、唐の詩人李益の漢詩説や『禅門諸祖師偈頌』にある禅語説など諸説あり、確定されていないとのことです。いずれにしても、古来には、弓で勢いよく射られる矢こそが速いものの象徴であったことから生まれた表現でしょうが、今では速さの象徴としての矢は、すっかり色失せ、結果、「光陰矢の如し」という表現も、特に若者たちの多くには縁遠く意味不明の言葉になっているようです。

ところで、100年に1度といわれる大不況、未曾有の政権交代等など展望が見えない混沌としたなかで迎えた新年ですが、警察庁がこの1月2日に発表した昨年09年の全国の交通事故発生状況によると、交通事故の24時間死者数は9年連続して減少し、5,000人台を割り込み4,914人にとどまったほか、人身交通事故件数も負傷者数も減少し、人身交通事故件数は前年より3万件ほども少ない73万6,000件余、負傷者数は前年比3万5,000人以上も少ない90万8,000人余となり、何かと暗い話題が多かった世相のなかでは希少の好ましい結果を残しました。

ちなみに、死者数の4,914人というのは、半世紀以上も前の1952年(昭和27年)の死者数に近似する少数記録で、1970年(昭和45年)のピーク時の死者数(1万6,765人)に比べると3割以下に当たる激減数で、大いに歓迎すべき記録ではありますが、この「雑記子」にとっては、にわかに信じ難い減少ぶりです。というのも、人身交通事故の件数そのものも、この数年、確かに減少し続けていますが、昨年の73万6,000件余というのは、10数年前の1994年(平成6年)に匹敵する件数で、その年の死者数は1万人を超えていました。つまり、人身交通事故件数の減少ぶりに比しても死者数は激減しすぎており、にわかに信じ難いというのが正直な実感なのです。

警察庁では、シートベルトの着用率の向上や悪質・危険性の高い違反に起因する事故の減少などが死者数減少の要因とみているとのことですが、シートベルトの着用率が向上したとはいえ、10数年前に比べ劇的に向上したわけではありませんし、なぜ、悪質・危険性の高い違反に起因する事故が減少したのかも定かではありません。少なくとも、数年前までの10年間ほどは、全国の交通事故が年々増加の傾向をたどっており、その一方で国をはじめ地方自治体の財政は年々悪化し、経済状況も低迷し、それに伴い交通安全関係機関・団体の対策予算も年々縮小され、交通安全対策そのものの質も劇的な改善がなされたわけではありません。特に近年は、都道府県や市町村等の関係機関や交通安全協会等の財源の縮小が著しいばかりでなく、交通安全への取り組み姿勢・意欲そのものも縮小傾向にあります。そうしたなかでの交通事故の減少化、交通事故死者の激減が実現したというのが実態ですから、どうして、なぜ、かくも好転したのか、釈然としないというのが「雑記子」の正直な心境なのです。

とはいえ、交通事故の減少化、交通事故死者の激減はまぎれもない事実で、この結果を受け、国家公安委員会は以下のような委員長コメントを出しています。

(前段略)これは(この成果は)、これまで、国民の皆様やマスコミをはじめ関係方面の御協力により、交通安全の確保に取り組んできた成果であります。しかし、65歳以上の高齢者が交通事故死者全体の約半数を占めるほか、飲酒運転による悲惨な死亡事故も293件発生しているなど、交通死亡事故情勢が厳しいことに変わりはありません。交通事故のない安全で快適な交通社会を実現することは、国民すべての願いであり、政府の重要な課題であります。国家公安委員会としても、引き続き、強い決意をもって「平成30年を目途に、交通事故死者数を半減させ、これを2,500人以下とし、世界一安全な道路交通の実現を目指す」という交通安全対策の目標に向けて交通事故死者の更なる減少に取り組んでまいりたいと考えており、国民の皆様方には、なお一層の交通安全の取り組みや安全行動の実践をお願いします。

以上が国家公安委員会委員長コメントですが、「平成30年を目途に、交通事故死者数を半減させ、2,500人以下とする」という国としての目標を改めて明記していながら、「なお一層の交通安全の取り組みや安全行動の実践をお願いします」という国民へのお願いがあるだけで、国として取り組む対策が何ら明記されていないのが極めて気掛かりです。なぜか、幸いにも交通事故は減少傾向をたどり、事故死者は激減していますが、それ故か、地方自治体のレベルでは関係機関・団体の交通安全対策関係予算が年々縮小され、交通安全への関心そのものが薄れつつあり、このような状態が続けば「平成30年を目途に、交通事故死者数を半減させ、2,500人以下とする」という国の目標達成も極めて危ういものとなることが懸念されます。こうした懸念を払拭するには、まず国自体が達成 目標を掲げるだけでなく、それを達成するための具体的な施策・財源を明確に打ち出すことが必要です。しかし、「国民の生活が第一」のスローガンを掲げる新政権が打ち出した来年度予算のなかには、「世界一安全な道路交通の実現」、安全な暮らしづくりを目指す斬新な施策・予算が見うけられないことは何とも残念なことです。
(2010年1月8日)

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バックナンバー

第119回
せっかくの新法も、国民一般への広報・周知が疎かにされれば「絵に描いた餅」にすぎなくなる。「自転車活用推進法」の問題点・・・
第118回
クルマ社会の大革命―自動運転(走行)車の実用化が迫っている今、半世紀以上も前に制定された道路交通法の大改革が必要不可欠・・・No.3
第117回
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第116回
クルマ社会の大革命―自動運転(走行)車の実用化が迫っている今、半世紀以上も前に制定された道路交通法の大改革が必要不可欠・・・
第115回
道路交通法の「安全運転義務」を緩和するだけで「レベル3」相当の自動運転(走行)車の実用化を促進するのは拙速・乱暴な方策だ・・・
第114回
次代を担う子供のかけがえのない命を社会全体で交通事故から守るには、事故発生状況を分析し、特徴等を的確に把握することが出発点となる・・・
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次代を担う子供のかけがえのない命を社会全体で交通事故から守ること、その重要性・必要性が一層高まっているが、諸対策は進捗していない・・・
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第102回
「高齢者講習」や「認知機能検査」の予約を取るのが大変だ!?・・・
第101回
「人対車両」の事故と「歩行中」の事故との違いについて考える・・・
第100回
「自動運転の実用化」にかかわる関連法整備上の問題点・・・
第99回
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第98回
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第97回
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第96回
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第95回
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第94回
「自動運転」車開発の現状と課題を考える・・・No.3
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第92回
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第90回
第10次「交通安全基本計画」を点検する・・・No.2
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第87回
続発する「観光バス」事故から見える「安全第一」の空念仏を嘆く・・・
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第83回
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第82回
ブレーキとアクセルの踏み違い等「操作不適」事故について考える・・・
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「安全運転義務違反」による事故、その問題点等を考える・・・
第73回
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第72回
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第71回
「自動車運転死傷行為処罰法」について考える・・・No.4
第70回
「自動車運転死傷行為処罰法」について考える・・・No.3
第69回
「自動車運転死傷行為処罰法」について考える・・・No.2
第68回
「自動車運転死傷行為処罰法」について考える・・・
第67回
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高齢者の交通事故死傷者の実態を検証しておこう・・・
第65回
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第64回
都心に45年ぶりに25cm以上の積雪、「冬道」運転のイロハ無知を嘆く・・・
第63回
2013年の全国死者数、前年に引き続き4,500人を割り込んだ・・・
第62回
「24時間死者数を3,000人以下とする」という目標は達成できるか・・・
第61回
危険運転の罰則強化、「自動車運転」だけを特別視する風潮に疑義・・・
第60回
高齢ドライバーの事故実態、一律に危険視するのは非常に問題!
第59回
「秋の全国交通安全運動」を機に、再び「手上げ横断」の奇怪を問う!
第58回
「世界一安全な道路交通を実現する」という達成目標に黄信号!?
第57回
再び、スピード規制とスピード違反取締りの問題点について考える・・・
第56回
事故実態と無縁な「スピードの出しすぎ注意!」について物申す・・・
第55回
道路交通法と道路運送車両法の整合性について考える・・
第54回
再び、「自転車の交通ルール」の不可解を考える・・・
第53回
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第52回
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第51回
「冬型交通事故」の実態と「冬道」安全運転の課題 No.4
第50回
「冬型交通事故」の実態と「冬道」安全運転の課題 No.3
第49回
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第48回
「冬型交通事故」の実態と「冬道」安全運転の課題
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第43回
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第42回
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第41回
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第40回
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第39回
東日本大震災をはじめ多くの災害に見舞われた2011年だったが・・・
第38回
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第37回
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第36回
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第35回
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第34回
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第33回
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第32回
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第31回
未曾有の大震災から露呈された「安全問題」の課題を探る・・・No.2
第30回
未曾有の大震災から露呈された「安全問題」の課題を探る・・・
第29回
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第28回
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第27回
最多の事故類型、追突事故の意外な実態と事故防止のポイント・・・
第26回
無知なのか、怠慢なのか、放置される違反自転車摘発の根本問題・・・
第25回
「居眠り運転」の不可解・・・
第24回
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第23回
「事業仕分け」で改善勧告を受けた全日本交通安全協会の事業・・・
第22回
困ったもんだよ、警視総監の「手上げ横断」セレモニー・・・
第21回
交差点での事故防止対策こそ、交通事故の減少を図る決め手・・・
第20回
先進的なハイテクにこそ、予期できぬ未知の危険が潜在している・・・
第19回
年間死者数2,500人以下を目指す、その具体的施策が見えない・・・
第18回
新政権に望む、半世紀も前につくられた道路交通法の抜本的見直し・・・
第17回
ドライバーに「安全運転教育」のニーズが不足しているのはなぜか・・・
第16回
民主党圧勝し政権交代、どうなる「高速道路無料化公約」・・・
第15回
新スタートした高齢運転者の免許更新時講習等の不可解・・・
第14回
危険運転致死傷罪認定の危うさ・・・
第13回
遅すぎる道路交通法の一部改正に伴う施行規則の改正作業・・・
第12回
交通事故死は激減しているが、関係機関・団体の財源も激減・・・
第11回
社会状況が未曾有の暗転をしたなか、交通事故死は激減したが・・・
第10回
交通事故死は激減、交通事故も減少に転じたが・・・
第9回
交通事故も減少しているが、安全活動財源も年々目減りしている・・・
第8回
シグナル・ブックレット・シリーズ、ようやく発行・・・
第7回
シグナル・ブックレット・シリーズ刊行・・・
第6回
交通事故死が激減して幸いだが、なぜかが不明なのが問題・・・
第5回
何か変、道路交通法の一部改正が施行・・・
第4回
事故現場からの警告者・故加藤正明氏を偲ぶ
第3回
事故回避の実行力、安全運転を確保するためのテクニック
第2回
雑記 第2回
第1回
雑記 第1回

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