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最終更新日:2017年8月17日

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交通安全時評

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安全運転管理 あれこれ記 その110 新人教育のヒント
交通リスクコンサルタント 小林 實

5年目のリバウンド

 統計分析の手法の一つに「コーホート分析」というものがあります。この手法は、同一サンプルの変化が経年的にどういう傾向にあるか―を見るためのもので、その集団の持つ特性なり傾向を横断的に捉えることが可能です。
 たとえば、ある年に運転免許を取得した集団の1年ごとの事故率は、経年的にどう変化するのでしょうか? 全国で2008年に免許を取得した人は約127万人ですが、そのほとんどは若い人たちでしょう。もちろん40代になって初めて免許を取る人もおられるでしょうが、その数は限られています。この127万人のサンプルが、その後5年間に人身事故をどの程度起こしているのか―を、年ごとに追ってみましょう。
 初心運転者は、その後の運転経験により、学習効果で事故率は徐々に下がっていくものと推定できます。そこで、免許を取得した1年目の事故率をみてみると、人身事故の第一当事者になった人数は約3万2,000人で、免許取得者1万人当たりでは255人でした。この事故率は、下図のように年々低下していき、4年目には130人まで下がります。これは、1年目のおよそ半分の数字です。
 ところが5年目になりますと、事故率は逆に上昇して167人となります。つまり、2008年に免許を取得した人たちの5年目の事故率は、前年よりも高くなっている―ということです。もちろん、免許取得から5年を超えますと事故率は低下し、平均すれば65人程度まで減ります。

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 では、5年目のリバウンド現象はなぜ起きるのでしょうか? 初心ドライバーは、初めは慎重に、それこそ教習所で習った通りの運転をしていますが、経験を積むうちに運転への自信が高まり、さらにそれが「過信」へと変化する時期がちょうど5年目あたりなのかもしれません。言葉を変えれば、「マイルール」の運転へと転化しやすい時期なのでしょう。

若者の特性を理解する

 企業に入社してくる新人のなかには、免許を取って5年前後の人が結構多いと思われます。そこで、管理者の方々は、若者の運転特性を改めて理解しておくことが大切でしょう。
 現代の若者は、スマホやタブレット、カーナビ情報といったデジタル情報の取り込みには慣れています。こうしたデジタル情報への対応はきわめてスムーズなのですが、交通環境といった予測を必要とするような、いわばアナログ情報への対応は必ずしもうまいとはいえません。つまり、運転中に人や車が急に出てきたらどうするか―といったように、想定外の場面に素早く対応するのは意外に不得手だということです。なぜなら彼らは、そんなことはあり得ない、出てくるはずがない―という、いわばデジタル処理で解決しようとしがちだからです。
 その一方で、運転操作という面では、彼ら若者は運動神経もよく、うまいといえましょう。しかし、自己抑制力だとか、他との共感性といったメンタル面では、経験不足も含めて必ずしも十分とはいえません。
 したがって、若者の安全指導では、スキル(技術)とセンス(思考)とのバランスがうまく取れた態度教育が不可欠だといえます。彼らの運転態度には「確認の省略」といった問題も指摘されていますので、KYT(危険予知訓練)などが形式的にならないように注意したいところです。

添乗指導のポイント

 新人教育の一つとして「添乗指導」というものもありますが、これは、本人が気づいていない癖を指摘し、それを修正させる場として有効な手段の一つです。ただし、指導員と一対一の場面ですので、新人を頭ごなしに叱責することはよくありません。そのような指導を受けると、新人はいわゆる「認知的不協和」を起こして自分の正当性を主張しがちで、せっかくの指導が逆効果になりかねません。
 したがって、まず、指導を受ける新人が固くならない雰囲気作りが大事です。検査をするような雰囲気ですと、普段の運転態度が見られなくなりますので、その場その場での指導は最小限にとどめ、詳しい指摘や指導はなるべく運転終了後にやるほうが効果的でしょう。運転中にあれこれ言われても頭に残りません。また、たとえば左折時にウインカーを出し忘れたような、すべき動作をしなかった場合には、「なぜ出さないことが危険につながるのか」を当人に理解させることが大切です。彼がその後、必ずウインカーを出すという習慣行動へ変容していくことが重要だからです。

営業車とマイカーの区別

 車を利用して営業をする企業のドライバーは、いわゆる「プロドライバー」ではありませんが、アマチュアとは一線を画す必要があります。彼らは、単に運転技能だけではなく「安全に対する意識」というものが高くなければならず、安全な走行をすることへの高い責任感を持つ必要があるのです。
 新人社員には運転免許を取得して5年前後の人が多いことを考えると、彼らへの安全管理には特に目を光らせる必要があるでしょう。彼らのほとんどは運転経験こそありますが、営業車とマイカーの区別の意識が希薄な人もいますので、自分は会社の看板を背負って走っている―という意識改革が必要です。
 また、これは若者に限ったことではありませんが、うっかり大事な書類やパソコンのデータを車に放置して盗難に遭うケースが少なくありません。このあたりの指導は、ことに直行直帰型のサービス業では重要でしょう。
 さらに、交通量の多い道路に平気で長時間にわたり違法駐車する人も少なくありませんが、これは意図的な悪質行為であり、違法駐車が引き金となって人身事故が発生するケースもありますので、しっかり指導したいところです。

 

小林實(こばやし・みのる)

 1959年慶應義塾大学大学院修士課程修了。警察庁入庁、科学警察研究所勤務。同研究所 勤務の間、米国厚生省訪問研究員、フィリピン大学交通訓練センターでの教育指導などに従事。1989年交通部付主任研究官を最後に退官後、(株)損害保険ジャパン顧問、(財)国際交通安全学会顧問、主幹総合交通心理士。現在、交通リスクコンサルタントとして活躍。
 『運転学のすすめ』『安全への視点』『運転の構図』『あんぜんかわらばん』『クルマ社会の安全管理』『なぜ起こす交通事故』など著書多数。当社からは『安全運転管理のスタンス』『安全運転管理の心理学』を発行。 

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血液型と性格
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