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平成29年3月12日施行の一部改正(準中型免許の新設、高齢運転者に対する認知症対策の強化)を収録した「普及版 道路交通法〈改訂第24版」好評発売中!

最終更新日:2017年11月20日

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交通安全時評

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安全運転管理 あれこれ記 その59 スイスチーズの大きな穴
交通リスクコンサルタント 小林 實

多重防御システム

 『組織事故』という本を1997年に著したリーズン(Reason, J)という学者は、その著書のなかで、有名な「スイスチーズモデル」を発表しています。これは、何かシステムにトラブルがあった場合でも、幾重もの防御があれば大きな事故を回避できる―という、スライスしたスイスチーズの穴に例えた理論です。「多重防御システム」ともいわれ、安全管理の分野では、皆さんもよく引用されています。
 スライスしたスイスチーズには、たくさんの違った形の穴がばらばらに開いています。このスライスチーズを「防御」の壁に見立てると、ある危険事象が発生した場合、「防御」の壁にいくつもの穴が開いているため、1枚のチーズだけでは危険がすり抜ける危険性が高いといえます。しかし、チーズの枚数を多くすれば、何枚目かの、チーズの穴のないところで危険は食い止められ、事故発生は回避できる―というわけです(下図の左側を参照)。
 ところが、企業などの安全運転管理においては、下図の右側のようにチーズの枚数が少ないため、ちょっとしたことで危険がすり抜け、事故が発生しやすいのが実態です。この場合、被害は局所的ですので全く比較にはなりませんが、今回の大地震で事故を起こした福島第一原子力発電所のような巨大システムでも、考え方そのものは同じです。
 実は、原子力発電所の管理システムでも、この理論を適用して「多重防御システム」を構築しています。今回の大地震でも、フェイルセーフがうまく機能し、原子炉は緊急停止しました。しかしながら、「非常用電源装置の不具合」という大きなチーズの穴を危険がすり抜けてしまったのです。リーズン自身、このモデルにより、原子炉の安全性確保について説明しているのですが、今回の福島第一原発のトラブルにおいては、こうした理論通りのモデルの枠を逸脱した事態となっています。
 安全運転管理においてもそうですが、チーズの穴は知らないうちに大きくなったり、もろくなったりします。そのため、常に安全教育や安全点検といったものを徹底する必要があるのです。ところが、今回の原発事故においては、「大津波」という二次的なリスクを過小に想定していたため、これに対する訓練なり対応なりが十分ではなかったのでしょう。目下、各方面の懸命な努力で、放射性物質漏れの対策を講じておられるところですが、これがうまく機能することを願っています。

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自然現象に対して神は過酷である

 今回の大地震を「想定外の天災」として、その教訓を終息させてしまうには、余りに大きな代価を支払いました。
 昔から安全の世界には、次のようなことわざがあります。「人間は過ちを犯す、そしてそれを許すのは神のみである」というものです。もとの英語では“To err is human, to forgive is divine.” というものですが、この前段部分ばかりが強調されすぎて、「ヒューマンエラー(human error)」なるおかしな造語までできました。なぜこの造語がおかしいかといいますと、エラーは人間しか起こさないのだから、あえてヒューマンとつける必要はない―ということです。分厚い英語の辞書にも、このhuman errorなる語は見当たりません。
 このことわざは、人間の犯すエラーに対して、ある意味、神は寛大である―とみることができます。しかし逆に、天災という自然現象に対して神は許容しない、苛酷である―とみることもできるでしょう。まさに、東北関東大震災はこれを物語っています。

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第136回
残酒(のこりざけ)運転
第135回
マナーについて
第134回
沈着な判断と行動が鍵
第133回
血液型と性格
第132回
忖度こそ安全マナー
第131回
タイヤ以外、何に触れても事故である
第130回
現場の声を聞く
第129回
運転の自動化とドライバー
第128回
人類は変化を続けている
第127回
眼の動きを捉える
第126回
プロアクティブな安全管理
第125回
次世代に向けた安全管理
第124回
思い込みの心理
第123回
これからの交通社会は?
第122回
レジリエントな発想
第121回
レジリエンスと安全管理
第120回
トンネルのリスク
第119回
突然死のリスク
第118回
バスの暴走
第117回
オアフ島と交通渋滞
第116回
安全管理八策
第115回
安全の費用対効果
第114回
交差点での安全運転
第113回
自転車事故と保険
第112回
感電のリスク
第111回
「安全神話」は崩壊したか?
第110回
新人教育のヒント
第109回
自動運転を考える
第108回
再び問われるメンタルヘルス
第107回
ハイタクと安全管理
第106回
何を認知するのか?
第105回
交通安全標語の変遷
第104回
なぜゴリラは見落とされるのか
第103回
10年後の交通を読む
第102回
若者との接し方 指導教官の話から
第101回
若者とクルマ離れ
第100回
異常気象と安全運転管理
第99回
どうする物損事故
第98回
ミラーの効用
第97回
「ハザード」の捉え方
第96回
「手術なき医学」からの脱却
第95回
二つの鉄道事故に学ぶ
第94回
歩道橋について考える
第93回
死亡事故の減りにくい部分
第92回
交通違反の悪質性
第91回
見える化
第90回
ハインリッヒの法則の逆読み
第89回
カクテルパーティー効果
第88回
指差し称呼
第87回
コミュニケーション・ミス
第86回
企業とゾンビ族
第85回
ハイブリッド
第84回
「運転技能」について
第83回
金魚のフン
第82回
5回のなぜなぜ
第81回
天井板崩落事故に学ぶ
第80回
荷役事故と交通事故
第79回
安全管理の格付け
第78回
交通KYTの限界
第77回
中小企業と安全管理
第76回
高年齢者の再雇用問題と企業リスク
第75回
「ハザード」の持つ意味
第74回
仮眠と過労
第73回
ハンドルを握る重み
第72回
厳しくなるメンタルヘルス対策
第71回
事故防止のために事業主は何をすべきか
第70回
多発するトレーラー事故〜プロドライバーの資質を問う
第69回
交通での安全マネジメント
第68回
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第67回
スウェーデンとアルコール
第66回
北欧・コペンハーゲンの自転車道
第65回
無事故が続いていたら...
第64回
社会のスピード
第63回
国際運転免許
第62回
モラルハザード
第61回
コードンラインは不要だったか? ―首都圏での二次災害の可能性―
第60回
稲叢(いなむら)の火 ―防災の伝承を考える―
第59回
スイスチーズの大きな穴
第58回
外国人観光客と冬道事故
第57回
アビイ・ロードの横断歩道
第56回
安全そして安心を目指せ「運転代行業」
第55回
"不死鳥"の帰還
第54回
目先のリスク回避 ―バスの転落事故から―
第53回
ある学者の死を悼む
第52回
氷河急行の事故
第51回
企業も頑張っている!
第50回
うどん文化と運転
第49回
100円ライターのリスク
第48回
カルガモ走行
第47回
事業仕分け人
第46回
お客様目線
第45回
青矢印信号の謎
第44回
「安・近・短」のわな─グアムでの印象
第43回
120万という数字
第42回
加賀屋さんにみるCSR
第41回
「安全力」をアップしよう
第40回
「まぁ、いっか」の発想
第39回
元を質(ただ)す
第38回
ランドマーク
第37回
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第36回
持続可能性
第35回
認知ギャップ
第34回
「パーおじいさん」のこと
第33回
40年の功と罪
第32回
キャリーバッグと事故
第31回
KYTの落とし穴
第30回
ゲリラ化する災害
第29回
エスキモーと白
第28回
マニュアルにないもの
第27回
あっ、カエルが跳び出すよ!
第26回
経年劣化
第25回
我輩は「ジコ」である
第24回
タイタニック症候群
第23回
感覚の研ぎ澄まし
第22回
若い世代と安全管理
第21回
近づくもの・遠ざかるもの
第20回
自己防衛の殻を破る
第19回
トップの厳しい目
第18回
逆転の発想
第17回
ベトナムとヘルメット
第16回
心のサーモスタット
第15回
地図の効用
第14回
左か右か
第13回
銃社会のジレンマ
第12回
はい作業とは
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ボルボが似合った男
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自転車の勘違い
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