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最終更新日:2017年10月12日

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交通安全時評

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安全運転管理 あれこれ記 その51 企業も頑張っている!
交通リスクコンサルタント 小林 實

会社の命運を分ける

 昨年、交通事故による24時間以内の死者が年間5,000人を割りました。行政担当者は、取締りの強化や自動車の構造上の安全性の向上などをその理由に挙げています。もちろんその見方は誤ってはいないのですが、道路利用者のさまざまな努力が評価されていません。確かに、一般の道路利用者からすれば、「それだけ減ったのか、まぁ、良いことに違いない」とは思うかもしれませんが、それが自分たちの努力の結果だとは思わないでしょう。
 しかし、営業で車を使っている企業、ことに運送事業者においては、事故防止というのはいまや会社の命運を分ける最大の関心事です。経済不況の厳しさをまともに受けているなかで、しかも、さまざまな厳しい規制を受け、業績は悪化の一方です。いわゆる“運行三費”の削減も、燃費、補修費などは限度いっぱいですし、固定費といわれるものも厳しい。そこから利益を出すことに、皆さん大変苦労されています。もし事故を起こそうものなら、保険料も値上げ…という悪循環に陥ります。さらに、企業のもつ社会的責任の問題があり、ひとたび大きな事故を起こせば、風評などによる打撃も受けます。
 このように、企業にとっての交通事故というロスは、単に起こした本人だけでなく、企業全体にかかわってきます。安全管理者は、毎日の運行に対して神経をすり減らし、何としても事故を起こさないように気を配っているのです。

事業用車両の事故も年々減少

 交通事故データを少し分析してみましょう。全国の人身事故の発生件数は、平成21年で73万件ほどです。このうち事業用車両が第一当事者だったものは5万1,500件ほどで、事故全体の7%を占めています。一方、死亡事故件数を見ますと、全体が4,773件に対して事業用車両は451件と、約10%を占めています。事業用車両は走行距離が長いなど、いわゆる暴露度が高いため、重大事故に占める割合は若干増えるものですが、それでも全死亡事故の1割ほどに収まっています。もちろん、さらなる企業努力でこの比率が下がることを期待したいところですが。
 次に、平成12年の事故件数を100として、その経年変化を見てみますと、図1に示すように、全人身事故のカーブと事業用車両の人身事故のカーブは、ほぼ似たような傾向を示しており、平成21年には、事業用車両の人身事故が同12年に比べて22%減っています。また、事業用車両の死亡事故については、全死亡事故と同様45%減少しており、しかも、年々着実に低下する傾向を示しています。(図2参照)
 企業の事故防止や安全への努力というのは、一般の道路利用者のそれに比べて、より真剣であり、また積極的であるからです。

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一般ドライバーの手本

 カナダのワイルドという学者がいうように、道路を良くする、車の安全性が高まるなどというハード的な対策によって安全性が向上し、事故は減少するでしょう。しかし、その逆に、そこに生ずるリスクを軽く見てしまうかもしれません。また、交通取締りを強化すれば確かに事故そのものは減るでしょうが、ドライバーには「つかまらなければいいのだ」といった発想が生まれかねません。
 そこで、企業のドライバーには、公共の道路を使って稼がせてもらっているのだという意識を高めるとともに、いわゆる“プロドライバー”は一般ドライバーの手本だ─という運転を期待したいところです。
 すでに鬼籍に入られた成蹊大学の江守先生は、単に取締りや規則を厳しくすることではなく、こうした規制の力をゆるめることで利用者の自主性を尊重する─ことを提唱されていますが、これは、今後の安全対策を立てるうえでのヒントの一つでしょう。つまり、安全を維持するために皆が何をどうするか、その際に、個々の感じるリスクレベルをいかに高めるかといった観点からの対策を講じなくてはならないといえるでしょう
 
近年、運送事業者に対して、行政当局による指導や取締りが厳しくなっていますが、それだけではなく、彼らの自主的な努力があることを見逃してはならないと思います。死者が5,000人を割った背景には、企業の自主的な努力という下支えがあることを忘れてはならないでしょう。

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第135回
マナーについて
第134回
沈着な判断と行動が鍵
第133回
血液型と性格
第132回
忖度こそ安全マナー
第131回
タイヤ以外、何に触れても事故である
第130回
現場の声を聞く
第129回
運転の自動化とドライバー
第128回
人類は変化を続けている
第127回
眼の動きを捉える
第126回
プロアクティブな安全管理
第125回
次世代に向けた安全管理
第124回
思い込みの心理
第123回
これからの交通社会は?
第122回
レジリエントな発想
第121回
レジリエンスと安全管理
第120回
トンネルのリスク
第119回
突然死のリスク
第118回
バスの暴走
第117回
オアフ島と交通渋滞
第116回
安全管理八策
第115回
安全の費用対効果
第114回
交差点での安全運転
第113回
自転車事故と保険
第112回
感電のリスク
第111回
「安全神話」は崩壊したか?
第110回
新人教育のヒント
第109回
自動運転を考える
第108回
再び問われるメンタルヘルス
第107回
ハイタクと安全管理
第106回
何を認知するのか?
第105回
交通安全標語の変遷
第104回
なぜゴリラは見落とされるのか
第103回
10年後の交通を読む
第102回
若者との接し方 指導教官の話から
第101回
若者とクルマ離れ
第100回
異常気象と安全運転管理
第99回
どうする物損事故
第98回
ミラーの効用
第97回
「ハザード」の捉え方
第96回
「手術なき医学」からの脱却
第95回
二つの鉄道事故に学ぶ
第94回
歩道橋について考える
第93回
死亡事故の減りにくい部分
第92回
交通違反の悪質性
第91回
見える化
第90回
ハインリッヒの法則の逆読み
第89回
カクテルパーティー効果
第88回
指差し称呼
第87回
コミュニケーション・ミス
第86回
企業とゾンビ族
第85回
ハイブリッド
第84回
「運転技能」について
第83回
金魚のフン
第82回
5回のなぜなぜ
第81回
天井板崩落事故に学ぶ
第80回
荷役事故と交通事故
第79回
安全管理の格付け
第78回
交通KYTの限界
第77回
中小企業と安全管理
第76回
高年齢者の再雇用問題と企業リスク
第75回
「ハザード」の持つ意味
第74回
仮眠と過労
第73回
ハンドルを握る重み
第72回
厳しくなるメンタルヘルス対策
第71回
事故防止のために事業主は何をすべきか
第70回
多発するトレーラー事故〜プロドライバーの資質を問う
第69回
交通での安全マネジメント
第68回
「ゼロ」の持つ意味
第67回
スウェーデンとアルコール
第66回
北欧・コペンハーゲンの自転車道
第65回
無事故が続いていたら...
第64回
社会のスピード
第63回
国際運転免許
第62回
モラルハザード
第61回
コードンラインは不要だったか? ―首都圏での二次災害の可能性―
第60回
稲叢(いなむら)の火 ―防災の伝承を考える―
第59回
スイスチーズの大きな穴
第58回
外国人観光客と冬道事故
第57回
アビイ・ロードの横断歩道
第56回
安全そして安心を目指せ「運転代行業」
第55回
"不死鳥"の帰還
第54回
目先のリスク回避 ―バスの転落事故から―
第53回
ある学者の死を悼む
第52回
氷河急行の事故
第51回
企業も頑張っている!
第50回
うどん文化と運転
第49回
100円ライターのリスク
第48回
カルガモ走行
第47回
事業仕分け人
第46回
お客様目線
第45回
青矢印信号の謎
第44回
「安・近・短」のわな─グアムでの印象
第43回
120万という数字
第42回
加賀屋さんにみるCSR
第41回
「安全力」をアップしよう
第40回
「まぁ、いっか」の発想
第39回
元を質(ただ)す
第38回
ランドマーク
第37回
誤探知
第36回
持続可能性
第35回
認知ギャップ
第34回
「パーおじいさん」のこと
第33回
40年の功と罪
第32回
キャリーバッグと事故
第31回
KYTの落とし穴
第30回
ゲリラ化する災害
第29回
エスキモーと白
第28回
マニュアルにないもの
第27回
あっ、カエルが跳び出すよ!
第26回
経年劣化
第25回
我輩は「ジコ」である
第24回
タイタニック症候群
第23回
感覚の研ぎ澄まし
第22回
若い世代と安全管理
第21回
近づくもの・遠ざかるもの
第20回
自己防衛の殻を破る
第19回
トップの厳しい目
第18回
逆転の発想
第17回
ベトナムとヘルメット
第16回
心のサーモスタット
第15回
地図の効用
第14回
左か右か
第13回
銃社会のジレンマ
第12回
はい作業とは
第11回
ロータリー的発想
第10回
図と地の関係
第09回
安全の文化
第08回
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第06回
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ボルボが似合った男
第04回
自転車の勘違い
第03回
脳のサボリ装置
第02回
おかしなアナウンス
第01回
転倒リスク

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