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交通安全時評

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安全運転管理 あれこれ記 その49 100円ライターのリスク
交通リスクコンサルタント 小林 實

ワゴン車から出火…

 航空機内へのライターの持ち込みは一人1個に制限されていますが、相変わらず手荷物検査場の脇には、制限数を超えて回収されたライターがたくさん積まれています。持ち込み制限の理由は、あの“9.11”以来、ハイジャック防止のための措置と理解していたのですが、いわゆる“100円ライター”の自然発火もその理由の一つだそうです(禁煙の航空機のトイレで喫煙する輩がいることもあるのでしょうが…)。なるほど、腰のポケットに入れていた、着火部にフタがない100円ライターが何かの拍子に着火し、座席に引火して火災となることもあるわけです。
 実際、2009年6月には、高度600メートルを降下中の日航機内で発煙する事故が発生しました。さいわい火災には至らなかったものの、シートのすき間から焦げたライターが見つかったことから、ライターが人体とシートのあいだにはさまれて摩擦発火した疑いがあるそうです。このほかにも、机の引き出しに入れたライターのローラー部分が、引き出しを閉めた拍子に回転して発火した—というケースも報告されています。  
 また、今年4月に北海道で、駐車中のワゴン車のなかにいた子どもがライターにいたずらをして出火、車内に取り残された0歳から3歳の乳幼児4人が死亡する—という痛ましい事故がありましたが、この事故では、ライターのような危険物を車内に放置していた保護者の無神経さも問題となっています。

横着さが災い

 04年度から08年度にかけて、こうしたライターの関与した事故は132件あり、このうち死亡事故が1件、重・軽傷事故が57件という報告があります。車両火災の例としては、電動シートを動かした際、シートレール上に落ちていたライターの着火レバーが押されて発火した—という事故が報告されています。うっかり車内にライターを落としても、「安いものだから…」と、探そうともしない横着さがここでは災いしたわけです。
 こうした風潮を受け、消費生活用製品安全法という法律のなかで、ライターを「特定製品」に指定し、着火しにくい構造にする動きもあるようです。これはいわゆるCR(Child Resistance)といって、子どもの火遊び防止が狙いなのですが、簡単に着火する今のライターの便利さに慣れている層や高齢者にとっては、少々扱いづらくなることでしょう。
 ともあれ、小さい子どもたちのもつ興味というものは、なかなか大人には理解しがたいものがあります。100円ライターは色も鮮やかで子どもの目につきやすく、しかも親がダメと言っているものにはさらなる興味がわくわけで、簡単にポッと火の出るライターは、彼らにとって格好の標的になるのです。

薄れつつある危険意識

 ところで、家電等による製品事故では、06年度から08年度のあいだに、その誤使用・不注意などによって230人近くの人が死亡している—という統計が最近発表されました。このうち「ガスコンロ」「石油ストーブ」「電気ストーブ」が事故の三大原因となっていますが、製品そのものの欠陥による死亡事故は27件にとどまっているのに対し、いわゆる人為ミスによる死亡事故が195件も起きています。なかには、石油ストーブにガソリンを入れ間違えるというミスもありました。このほか、介護用ベッドに挟まれて窒息死されたご老人もおられるそうです。
 製品事故の形態はさまざまですが、身の回りのものに対する危険意識が薄れてきているのも事故原因の一つではないでしょうか。一昔前ですと、だるまストーブにさわって「熱い!」とやけどをした経験が誰にでもありましたから、これが原体験になり、「近づくと危ない」という意識が生まれます。最近は、ストーブのたぐいも安全装置が進化し、こうした危険が少ないものですから、ある老人ホームで起きた火災事故のように、衣類などを干すとき、ストーブに近づけすぎて引火する—という事故が起きてしまうのです。世の中で核家族化が進むと、それぞれが“自己責任”という形を取らざるを得ませんが、身体障害者や高齢者に責任をすべて覆い被せるのは酷でしょう。家族らがそれぞれの立場から協力するほかありません。
 家庭内での事故といえば、風呂場が最も多く、転倒や、湯船での溺死などが挙げられます。また、座布団やちょっとした段差につまずいて骨折し、その後は寝たきり…といったケースも後を絶ちません。家のなかでじっとしていれば交通事故に遭うことがないのは確かですが、家のなかといえども危険はたくさんあるのです。しかも、日常的に見慣れた生活環境のなかから危険を察知することは、ことに高齢者には難しいといえましょう。

感度の違い

 ところで、デュポン社の方に講演をしていただいたときのことです。パソコンやプロジェクターの周囲にコードが散乱していました。われわれにとっては、見慣れた普通の光景でしたが、安全文化に敏感な彼らの目には、乱雑なコード類は明らかな危険源と見えたのでしょう。「これをまず片づけていただいてからお話ししましょう」ということになり、危険に対する感度の違いをまざまざと見せつけられた次第でした。

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第137回
企業と労働災害
第136回
残酒(のこりざけ)運転
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マナーについて
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沈着な判断と行動が鍵
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血液型と性格
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忖度こそ安全マナー
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タイヤ以外、何に触れても事故である
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若者との接し方 指導教官の話から
第101回
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第100回
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どうする物損事故
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