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平成29年3月施行の道路交通法一部改正に対応した「交通違反点と反則金一覧表クリアファイル(改訂版)」好評発売中!

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平成18年6月施行分から平成29年3月施行分までの法改正の内容をわかりやすくまとめた「近年の道路交通法 一部改正の要点(改訂版)」好評発売中!

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歩行中や運転中のスマホ使用が招く事故などの危険を簡潔にまとめた新版チラシ「ながらスマホは危険がいっぱい!」好評発売中!

最終更新日:2017年5月23日

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交通安全時評

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安全運転管理 あれこれ記 その21 近づくもの・遠ざかるもの
交通リスクコンサルタント 小林 實

「騒」の世界

 最近のテレビゲームの流行は、「眼力(めぢから)」をトレーニングするソフトまで生み出しました。これは目の機能、ことに動体視力などを計測し、その機能のレベルを示そうというものです。
 視力をはじめとする目の機能は、文明の進化と反比例して退化しているといえましょう。これにはいろいろな原因が考えられますが、一つには、遠くのものを素早く発見する必要性がなくなってきていることが挙げられます。アフリカのマサイ族には、現在でも視力2.0以上の人がざらにいるということですが、それは、遠くの獲物を素早く見つけるとか、猛獣の襲来を素早く察知するなど、彼らの生活上必要だからです。耳にしても同じで、彼らは鋭い聴覚をもっているそうです。
 文明が進化すると我々は、いや応なしに「騒」の世界に浸ることになります。街の騒音、ネオンや標識の乱立といった、聴覚や視覚での「騒」のなかにいるわけで、こうした雑音が我々の身体機能の低下にも関係しているのではないでしょうか。

目の機能と追突事故

 そこで、こうした目の機能の低下と追突事故には何か関係があるのではないかと考えました。基礎心理学のなかで目の機能と関係が深いのが「視知覚」と呼ばれる分野です。そのなかでも、動くものについての研究は“平面上を動くものをどう認知するか”というものがほとんどで、いわゆる三次元上の奥行き運動視の研究はそれほど多くありませんでした。今と違ってパソコンのない時代には、対象を機械的に動かさなければならず、とかく骨の折れる研究でしたから…。
 ある論文集(慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要、1988)に「奥行き運動の検出に関する一考察」というのがありますが、このなかで、接近運動と後退運動とでは前者のほうの感度が高いことが実験的に確かめられています。この事実は、追突事故を考える際にきわめて重要な知見と考えられます。心理的にみても、近づくものへは恐怖心が、遠ざかるものへは安心感のようなものがあると考えてよいでしょう。こうしたことも、遠ざかるもの、あるいは同じ方向に進むものへの感度がそれなりに低下することに関係していると思われます。
 追突事故は全国で年間、昼間に約20万件、夜間に約8万件発生していますが、昼間の追突事故のうち、前の車が動いている状態での事故が約2万5,000件と、意外に多く発生しています。ことに高速道路では、このパターンの追突事故は重大事故になりやすいのが特徴です。
 ところで、追突事故を起こしたトラックドライバーへのアンケート調査によりますと、運転中に数秒以上も脇見をしたり、考え事をしているうちに前車との距離が極端に短くなり、ブレーキが間に合わなかった─という報告があります。
 自分と同じ方向に移動する対象については、接近してくる対象と比べて角速度(※)の変化も少なく、心理的にも安心感が強いといえるでしょう。しかし、このときちょっと気を抜いて脇見でもしようものなら、慌ててブレーキを踏まなければならない事態を引き起こしかねません。そして、こうした緊急事態のときでも、安心感による「ぼんやり眼」が元に戻るまでには時間がかかるのです。
 管理者の皆さんは、ほんのちょっとした心のすきに危険が忍び込んでくることを、運転者に厳しく指導していただきたいと思います。

※角速度=単位時間当たりの対象の視角(大きさ)の変化

高速道路の車群は危険

 また、高速道路では、低速車に追従していると車群を形成しがちですが、こうした場合、後続車は心理的にいらいらしがちで、車間距離も詰めがちです。もし、こうしたときに前方で何か異変があると、後続車は慌ててブレーキを踏むわけですが、これがどんどんと後ろの車へ伝わっていくと、やがてブレーキングの余裕がなくなり、追突事故を引き起こしてしまいます。高速道路を走行するときは、ぜひ、車群に巻き込まれない工夫も欲しいものです。
 追突事故防止の安全指導を行う際、「前方の車をよく見て運転すること」というだけでは、運転者は「そんなことはわかっている」と捉えるだけで、実感が伴いません。重要なのは、「前車の動き」という情報の読みとりと、それに基づく自分の行動決定までの判断をめぐる意識の働きです。つまり、見ている主体(=運転者)の内部で何かが起こらなければ(=行動に変化が起こらなければ)、単に受け身で見ているにすぎない─ということを管理者は肝に銘じ、追突事故防止のための車間距離保持が形式的なものとならないようにする工夫が大切でしょう。

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第131回
タイヤ以外、何に触れても事故である
第130回
現場の声を聞く
第129回
運転の自動化とドライバー
第128回
人類は変化を続けている
第127回
眼の動きを捉える
第126回
プロアクティブな安全管理
第125回
次世代に向けた安全管理
第124回
思い込みの心理
第123回
これからの交通社会は?
第122回
レジリエントな発想
第121回
レジリエンスと安全管理
第120回
トンネルのリスク
第119回
突然死のリスク
第118回
バスの暴走
第117回
オアフ島と交通渋滞
第116回
安全管理八策
第115回
安全の費用対効果
第114回
交差点での安全運転
第113回
自転車事故と保険
第112回
感電のリスク
第111回
「安全神話」は崩壊したか?
第110回
新人教育のヒント
第109回
自動運転を考える
第108回
再び問われるメンタルヘルス
第107回
ハイタクと安全管理
第106回
何を認知するのか?
第105回
交通安全標語の変遷
第104回
なぜゴリラは見落とされるのか
第103回
10年後の交通を読む
第102回
若者との接し方 指導教官の話から
第101回
若者とクルマ離れ
第100回
異常気象と安全運転管理
第99回
どうする物損事故
第98回
ミラーの効用
第97回
「ハザード」の捉え方
第96回
「手術なき医学」からの脱却
第95回
二つの鉄道事故に学ぶ
第94回
歩道橋について考える
第93回
死亡事故の減りにくい部分
第92回
交通違反の悪質性
第91回
見える化
第90回
ハインリッヒの法則の逆読み
第89回
カクテルパーティー効果
第88回
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コミュニケーション・ミス
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ハイブリッド
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「運転技能」について
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第80回
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第79回
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第78回
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第77回
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第76回
高年齢者の再雇用問題と企業リスク
第75回
「ハザード」の持つ意味
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仮眠と過労
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第71回
事故防止のために事業主は何をすべきか
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若い世代と安全管理
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自己防衛の殻を破る
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逆転の発想
第17回
ベトナムとヘルメット
第16回
心のサーモスタット
第15回
地図の効用
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