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平成29年3月施行の道路交通法一部改正に対応した「交通違反点と反則金一覧表クリアファイル(改訂版)」好評発売中!

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最終更新日:2017年4月24日

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交通安全時評

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クルマは今日も走っている ノンフィクション作家 矢貫 隆 第34回 交通事故が減少しているからこそ浮き上がってくる課題がある

滑走する転倒バイク

 その昔、人身事故を起こしたことがある。まだ若い時分、学生時代に京都市内でタクシー運転手をしていたときだ。
 左折しようとしたその瞬間、「ドーン」という音がした。ボクが運転するタクシーにガツンという感じで軽いショックがきて、それから「ガリガリガリ……」という音が聞こえてきた。転倒した原付バイクが路面を擦る音だった。京都駅から真っすぐ北に延びる幹線道路、烏丸通り。それと交差する幹線道路、五条通り。その交差点、烏丸五条でのこと。ボクは、直進しようとしていた原付バイクを巻き込んでしまったのだ。左斜め前方の路面を滑走する転倒した原付バイクの姿が見えた。左折時側面衝突である。
 あの日、清水寺で客を降ろしたボクは、五条通りを真っすぐ西に向かって走り、空車のまま烏丸五条までやってきたところで赤信号で停止していた。
 片側4車線のいちばん左の車線で止まり、信号が青に変わったら直進するつもりだった。なのに、走りだしたとたん、ボクは突然、「京都駅に行こう」と気が変わり、ウィンカーを出すと同時に急ハンドルを切って左折を開始したときの「ドーン」だった。いつもであれば周囲に停止している自動車や自転車の姿を確認し、それらの動きを頭に入れたうえで発進する癖がついているボクが、あのときに限って安全確認を忘れてしまっていたのは、まさに「魔が差した」としか言いようがない。それにしても、転倒した原付バイクの乗員が、擦り傷を負っただけの軽傷で済んだのは幸いだった。

根拠なんてないくせに…

 本人は慎重なつもりだったけれど、当時のボクは、はたから見れば、もしかすると無謀運転のタクシー運転手だったのかもしれない。考えてみれば「裏付けのない運転自慢」の若いタクシー運転手(=ボク)が、毎日毎日、京都市内を200キロ近くも走るのだ。今にして思えば、いつ事故が起こっても不思議ではない環境にいたことだけは確かだった。
 あれは、平安神宮で乗客を降ろし、いったん帰庫してタバコ休憩とばかり会社に向かって走っていたときのことだ。前方の「南禅寺」の信号が黄色に変わり、ここで止まらなければ交差点に差しかかったときは「赤」になるとわかっていた。でも、運転自慢の、しかも考え足らずの若いタクシー運転手(=ボク)は、それでもアクセルを緩めなかった。根拠なんてないくせに、あのときのボクは、「大丈夫」とタカを括っていたのだろう。
 交差点に入った瞬間、交差道路から交差点に進入してくるクルマの姿が目に入った。
 まずいッ!
 思ったところで、もう遅い。
 次の瞬間、そのクルマは、ボクのクルマの横っ腹にドカンとばかり突っ込んできたのだった。交差点のど真ん中で立ち往生する2台。観光客らの注目の的になっていた。
 この事故、黄信号で止まらなかったボクが悪い。青信号になるのを見越して、青になる前に発進した相手方にも大きな過失がある。互いの交通違反が引き起こした派手な衝突事故だったけれど、そのわりに双方に怪我がなかったのは幸いだった。前述の人身事故を含め、交通安全キングを自認する現在のボクからは考えられない、遠い昔の愚かな出来事である。
 こうして、あの頃に経験した何度かの交通事故を思い起こしてみると、一つの共通点があることに気がついた。
 事故現場となるのは、いつも交差点だった。事故に至らないまでも、危なっかしい事態に直面するのも、やはり、いつも交差点で、だった。

交通事故はどこで多発しているのか?

 近年、交通事故が減少傾向にある。
 知ってのとおり事故死者数は激減を続け、政府目標の「5,000人以下」も現実味を帯びてきた。事故死者だけでなく、交通事故そのものの発生件数も4年連続で減少を続け、昨年のそれは前年比約6万6千件減の、約76万6千件。ほんの数年前まで100万件に迫る勢いだったのが嘘のような減少ぶりなのである。
 交通事故死者数は今後も減少傾向を続けていくはずだ。何の確証もない推測だけれど、交通事故そのものも減少していくのだろうと思う。
 だが、なのである。
 交通事故が減少しているからこそ浮き上がってくる課題がある。しかも、それは昔から続く難題だ。
 高齢者の安全対策?
 確かにそれは大きな課題で、たとえば警察庁のホームページを覗いてみると、「高齢運転者の安全対策」に関する情報を頻繁に目にすることができる。実効的か否かは定かではないけれど、とにかく対策が講じられたり、講じられようとしているのである。飲酒運転対策にしても、あるいはママチャリの「幼児2人乗せ」にしても、対策が講じられ、または講じられようとしている。
 しかし、そうではなくて、ここでボクが言うところの「課題」とは、事故現場の話だ。交通事故がどこで起こっているのか、それを考えると、今後の交通安全対策の課題が浮かんでくるのではないか、という話だ。
 交通統計によれば、2007年に発生した交通事故は83万2,454件。そのうちの43.4パーセント(死亡事故は37.1パーセント)が交差点で発生したものだった(有信号交差点16.2パーセント、無信号交差点27.2パーセント)。さらに「交差点付近」を含めれば、全交通事故の半数以上が交差点と交差点付近で発生していたことになる。
 この年に限った話ではない。
 2005年から2007年までの3年間の平均で見ても交差点と交差点付近での事故は全体の半数を超えているし、20年前の交通統計を引っ張りだして見ても、やはり同じような数字が並んでいるのである。要するに「交差点対策」は、ずっと昔から続くテーマなのである。
 交通事故が多発しても減少しても、その半数以上が交差点と交差点付近で発生しているという事実。そこは、いつの時代も事故多発地点なのである。言い換えれば、「いつだって無事に通り過ぎることができる交差点」が実現すれば、それこそ交通事故は劇的に減ることになる。
 では、その方法は?
 ボクには、まるで名案が浮かんでこない。


この項、次回に続く。
 

 

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第34回
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第33回
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第32回
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第31回
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第30回
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第29回
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第28回
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第27回
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第26回
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第25回
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第23回
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第22回
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第21回
事故死者をさらに減らしていくために死者激減の「わけ」を早急に解明すべきだ
第20回
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第19回
運賃値上げのない地域にタクシー戦争あり、事故増加につながる危険性
第18回
事故が減るとか増えるとか、昼間点灯だけで交通安全をかたるのは間違いだ
第17回
AEDは救命率向上に大きな効果があるが、使えば必ず命が助かるわけではない
第16回
ツーリング中の中高年ライダーはこまめに休憩をとるべきだ
第15回
いつ発生するかわからない巨大地震にドライバーはどう対処すべきか
第14回
骨抜きにされた「運転者登録制度」では、規制緩和後の「タクシー問題」を解決できない
第13回
多くのドライバーは自転車の特性を理解していない、そのことを頭にたたきこんでおくのは重要だ
第12回
死者激減の原因を合理的に説明できない限り、根本的な安全対策を講じることはできない
第11回
規制緩和それ自体が悪いとは思わないが、そのしわ寄せを運転手に押し付けてはならない
第10回
「ここにAEDがあるぞ」と大勢の人に知ってもらう方策を考えるべきだ
第09回
事故死者数を減らすことは重要だが、それと個人の意思は別問題だ
第08回
自転車の走行環境とルールの整備という問題は、大きなテーマになっていくような気がする
第07回
タクシー運転手を体験した半年間で「稼げない構造」という問題が見えてきた
第06回
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第05回
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第04回
高度な機械の導入など、莫大な金をかけて高齢者講習の充実を図るべきだ
第03回
危険で迷惑な違法駐車車両だけに絞って場所も時間も関係なく取締りを徹底すべきだ
第02回
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第01回
近ごろの無法・無謀自転車問題の本質は、自転車に限らない安全教育の問題なのでは?

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