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2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2018年11月8日

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交通安全時評

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安全運転管理 あれこれ記 その12 はい作業とは
交通リスクコンサルタント 小林 實

積み上げられた荷物

no12_img01.jpg その分野の人だけにしか理解しがたい専門用語というものがあります。しかも、その語源というものがあまり明確にされないまま、日常的に使われています。放送局やテレビ局などでも隠語的なものがよく出てきます。
 労働災害でよく出てくるものに、「はい作業」という言葉がありますが、これは法令などでもそのまま使われています。かなり前から使われているようで、その語源は何ですかと聞いても明快な答えが返ってきません。しかし、門外漢にとって、なんでそんな名前がついているのか、いささか興味をもってしまいます。早速インターネットで検索してみると、いろいろな解釈があるようで、しかも定説がなく、いわば諸説紛々という感じです。
 共通の理解がなされている「はい作業」の定義をみると、袋物や箱物の保管、仮置き、検品などを行うために倉庫や上屋、土場に積み上げられた荷物の集団のことを「はい」といい、この「はい」を一定の方向で規則正しく積み上げたり、積み上げられた荷物(はい)を崩す作業を「はい作業」という、とあります。
 この際、手を使ったり、フォークリフトなどの機械を利用して積み降ろしをするわけですが、この「はい」が2メートル以上の高さになる場合は「はい作業主任者」を選出し、安全を確保しなくてはならないという法律もあります。

「はい」の語源は?

 なぜ「はい」というか、諸説のなかには、米俵が日本古来の荷の姿であって、その証拠に俵5個で「五俵はい」と言う─というものがありますが、イメージはわかるがそれほど説得力があるわけではありません。「擺」と書いて「はい」と呼ぶ古語がありますが、これは「広げて手順よく並べる」の意で、どうもこれが正しいのではないかという説もあります。その根拠に、作業場を渡り歩く人を「はい師」「はいつけ師」というようです。
 また、かつては、畑の土壌改良のために灰を肥料としてまいたことから、大量に灰を輸入して倉庫に積み、少しずつ取り崩して使っていたそうですが、その「灰」を語源とする説もあります。農家では、肥料としての灰を蓄えておく小屋を灰小屋、灰部屋ともいっています。
 「杯」という字もハイと呼びますが、これは、「増し加える」の意味の語源で「倍」からきています。江戸時代の「両」に相当する単位として使用されていたようで、たとえば芝居小屋で見物人の数を数える語として50人を1杯と呼ぶこととも関係しているようですが、これも定説とは言いがたいようです。

外来語の可能性

 ここで、一つ興味のある事実があります。荷役作業というのはもともと、船に荷物を積む「船積み」「船卸」の作業、つまり船内荷役作業から発したのだという説です。船の操縦用語の「ごへい」とはgo ahead(前進)から、「ごすたん」はgo astern(後進)が転化したとされています。建設用語の「さいすう」は英語のsize(サイズ)からきており、船のなかでの作業で外国語(この場合は英語)が飛び交うなか、このほうが便利だったことは予想されます。
 ならば、高さのことを英語ではheight(ハイト)、形容詞ではhigh(ハイ)ということから、これが日本語化して「ハイ」となったというのはありうる話でしょう。はい作業主任者の職務のなかにも、『床面からの高さが2メートル以上の「はい」については云々』といった表現があり、これを2メートル以上の「高さ」と読み替えることが可能です。高さが「はい」の語源でないかというのが有力な説です。
 当時の日本人作業員の背の高さは今よりも低く、2メートルの高さは確かに彼らにとって「ハイ」ではなかったでしょうか。意外に英語の語源説が妙に説得性を帯びているように思います。
 漁船に乗って難破したあと、アメリカ大陸へと渡ったジョン万次郎は、当時辞書もなく耳で発音を覚え、それを日本語に置き換えたという有名な話がありますが、なかでも「掘った芋いじるな」とはご存じのように“What time is it now?”のことです。
 話が少々脱線しましたが、最近、交通労働災害のなかで、いわゆるフォークリフトなどを使った「はい作業」における構内事故が、道路上での交通事故以上に増えてきているという事実には注目しなければならないと思います。

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