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2018年8月23日

ホームページの内容を一部リニューアルしました。トップページに掲載されていた「シグナル交通安全雑記」は、交通安全時評内でお読みいただけます。

最終更新日:2018年9月25日

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交通安全時評

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安全運転管理 あれこれ記 その10 図と地の関係
交通リスクコンサルタント 小林 實

図柄として認知

 心理学ではよく「図と地の関係」ということをいいますが、これは、ゲシュタルト(形態)心理学派が唱えたもので、知覚心理学では重要な概念とされています。
 我々が「もの」を知覚するのは、そこに異質なものが存在しているからです。等質な光で満たされているときには、「もの」は何も知覚されません。たとえば、雲一つない青空に鳥が1羽舞い上がったとき、「あっ、鳥が飛んだ」と感じるわけですが、「もの」が生じるのは、そこに何らかの非等質性が成立するためです。
 このように視野に異質な二つの領域ができることを図と地が成立したと唱えたのは心理学者のルビン(Rubin,E)でした。彼が考案した、図形が杯に見えたり、人の顔に見える、いわゆる「ルビンの杯」は有名です。
 つまり、視野が図と地に分化することが「もの」の知覚の成立の基本であり、我々が「もの」を認識するというのは、その対象を背景から浮き出してとらえている―ということです。
 私たちが運転中に、前方の赤信号に素早く注意が向くのは、それが背景から浮き出し、図柄として認知しているからです。逆に、脇見や居眠りといったドライバー側の生理的・心理的条件や、その赤信号がネオンにまぎれたり木立に隠れるといった環境的条件によっては、時に赤信号を見落とし、信号無視という事態が発生します。
 野球場の大観衆を前にした新人選手が、これに圧倒されてあがってしまい、思わぬエラーをしてしまうのは、大観衆を「図柄」としてとらえているからです。しかし、おそらくイチロー選手のような人は、むしろ無感覚に、単に大観衆を「背景」としてとらえているのでしょう。講演などの前に「人」という字を手のひらに書き、これを呑むしぐさをするのは「人を呑む」という洒落ですが、これも、人の存在を地柄におさめるための一つの工夫といえます。

大脳での処理が必要

 そもそも人間というものは、学習によって、ある程度の同時進行型の作業ができるといわれています。ピアノの演奏などはその最たるもので、左右の指を別々に動かしています。千手観音ではありませんが、人間の進化に伴い、こうした複雑な作業が容易になることはわかります。
 であるならば、運転中に携帯電話を使うことぐらい朝飯前と思う方も多いでしょう。しかし、つい先日、運転しながら携帯電話を使い、赤信号を無視して交差点に進入したドライバーに出会いました。幸い、交差路から車や人が出てこなかったので事故にならずに済みましたが、本人は別段自分が「信号無視をした」とは気づいていない様子でした。よくいう「ヒヤリハット」体験さえ本人はしておらず、逆にその場に居合わせた我々の方がハッとしたわけです。
 そのときの観察でわかったのは、信号交差点に差しかかっても、本人は信号が赤であることにまったく気づいていなかったことです。「そんなばかなことがあるか」という方もいるかもしれませんが、物理的に目の網膜に到達した「赤」も、大脳で処理されたときに初めて「これは危険だ、要注意だ」と認識することができるのです。
 この運転手の場合、赤信号が「図」でなく、背景の「地」になってしまったといえるでしょう。図柄になったのはむしろ耳からの電話の会話であったわけです。

問題がある「昼間点灯」

no10_img01.jpg よく平常心といいますが、「話に夢中になって…」という状態は、すでに平常心とはいえません。そのときは、電話が「主」であり、前方の状況は「従」であるわけです。携帯電話をはじめ、カーナビやデジタルカメラなどは、操作が簡単で、ただ押すだけの仕掛けです。頭も手先も使わずに済む便利さに慣れてくると、怠惰も本性の一部である人間にとって、それがごく当たり前のことになり、そこに発生する危険というものに目をつぶりがちです。
 ひところはやった「昼間点灯」というのも、本来はバイクという小さな対象が図柄になりやすいようにという趣旨で始まったものですが、バスやタクシーまでが続々にこれをやりだしますと、すべてが図柄となって、せっかくのバイクが見えにくくなり、これでは本末転倒となりましょう。

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運転教育とコーチング
第145回
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第144回
かくれんぼができない子供たち
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第141回
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第140回
台車事故を考える
第139回
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第138回
デイサービスと安全管理
第137回
企業と労働災害
第136回
残酒(のこりざけ)運転
第135回
マナーについて
第134回
沈着な判断と行動が鍵
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血液型と性格
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忖度こそ安全マナー
第131回
タイヤ以外、何に触れても事故である
第130回
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第125回
次世代に向けた安全管理
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第121回
レジリエンスと安全管理
第120回
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第119回
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第118回
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第100回
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