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最終更新日:2017年5月23日

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交通安全時評

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安全運転管理 あれこれ記 その07 視覚公害
交通リスクコンサルタント 小林 實

思い切ったデザイン

no07_img01.jpg 東京・千代田区にあるイタリア文化会館が昨05年に改築され、そのかなり思い切ったデザインが話題になりました。ことに外壁の朱色があたりの景観にそぐわない―と、地元住民が塗り替えを求める運動を起こしましたが、大使館側は、コンクリートとガラスによるイタリア風のデザインは日本の城壁や石垣、格子や障子をイメージしたもので、周囲の景観にもマッチしている―と反論し、今のところ色の塗り替えは行われていません。最近は若干見慣れたものの、それでもけっこうユニークな色とその大きさです。
 ところで、近年、「騒音」に対して「騒色」というキーワードが、いわゆる「視覚公害」として注目を集めています。2004年には景観法が全国施行され、これに対する人々の関心も高くなりつつあります。しかし、交通ともかかわりの深い騒音や排ガスといった人体に直接悪影響を与える「公害」については、かねてから人々の関心も高く、法令でも厳しく規制されているのに対して、「色」の問題はこれまであまり重要視されてこなかったことは事実です。

都市景観との調和

 外国の諸都市を見ると、建物などは街並みのもつイメージになじむこと―という一つのルールがあり、たとえばパリのシャンゼリゼ通りにあるJALの赤い鶴のマークが街並みの雰囲気を壊しているということで、かつて金色に塗り替えられたりしたことがあります。ミラノの有名なアーケードであるガレリアのマクドナルドの赤地に黄色の看板も、黒地に金色に塗り替えられています。
 この夏に訪れたローマでは、古いコンクリートの建物外部は昔のたたずまいを残し、傷んだところは修復して、できるだけ原型を残すよう工夫がなされています。また、内部は時代に合わせて改修し、現代風のモダンな家具とマッチさせるというきめ細かい配慮がなされています。ローマのスペイン広場に近いコンドッティ通りも、中世のころの古い建物の外観をそのままに1、2階をモダンにした世界有数のブティック街に仕立て上げられています。これも都市景観との調和といえるでしょう。
 最近は、我が国でも、各自治体が「景観条例」を制定しているようですが、それが十分に機能しているとは言い難いようです。行政指導にあたれば、補助金を出さなくてはならず、財源上の問題が生じるからでしょう。
 こうしたなか、横浜の関内地区では、市庁舎や横浜スタジアムの外壁がブラウンに統一され、いわゆる居留地の伝統色を基調にしています。また、馬車道の商店街では茶、黒、白の3色が有効に使われていますが、これは市民と企業、さらには役所との精力的な話し合いが有効に機能した結果だといえましょう。

文化の時代相を反映

no07_img02.jpg 街なかの落書きも景観を損なう一つの要因です。これもイタリア文化なのかと驚きましたが、ミラノのような大都市の中心街の落書きは、横浜・桜木町のガード下のそれとは比べられないほど徹底されています。建物はいうに及ばず、公共輸送機関の地下鉄や路面電車、鉄道車両も徹底的にターゲットにされています。
 以前ここでも紹介しましたが、ニューヨーク市内で落書きなどの軽犯罪を徹底的に排除したところ、殺人などの凶悪犯罪が大幅に減った―という、いわゆる「壊れた窓ガラス(Broken Windows)理論」はこのイタリアには当てはまらないのか、それともこれがイタリア人の鷹揚さなのでしょうか、少なくとも今のところ手つかずの状態です。彼らの落書きの徹底振りと、彼らのもつ美的センスとのギャップをどう考えればよいのでしょう。
 昔の落書きというのは黒がベースであったものが、近年の建設ブームと人工塗料の普及により、街にはペンキやラッカーのけばけばしい騒色があふれ、これに伴って落書きも多色化しています。かつて、民俗学者の柳田國男氏は「色の歴史は、不思議なように文化の時代相を反映している」と言われましたが、騒色や落書きの氾濫している今の都市を氏はどう見るでしょうか。

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第131回
タイヤ以外、何に触れても事故である
第130回
現場の声を聞く
第129回
運転の自動化とドライバー
第128回
人類は変化を続けている
第127回
眼の動きを捉える
第126回
プロアクティブな安全管理
第125回
次世代に向けた安全管理
第124回
思い込みの心理
第123回
これからの交通社会は?
第122回
レジリエントな発想
第121回
レジリエンスと安全管理
第120回
トンネルのリスク
第119回
突然死のリスク
第118回
バスの暴走
第117回
オアフ島と交通渋滞
第116回
安全管理八策
第115回
安全の費用対効果
第114回
交差点での安全運転
第113回
自転車事故と保険
第112回
感電のリスク
第111回
「安全神話」は崩壊したか?
第110回
新人教育のヒント
第109回
自動運転を考える
第108回
再び問われるメンタルヘルス
第107回
ハイタクと安全管理
第106回
何を認知するのか?
第105回
交通安全標語の変遷
第104回
なぜゴリラは見落とされるのか
第103回
10年後の交通を読む
第102回
若者との接し方 指導教官の話から
第101回
若者とクルマ離れ
第100回
異常気象と安全運転管理
第99回
どうする物損事故
第98回
ミラーの効用
第97回
「ハザード」の捉え方
第96回
「手術なき医学」からの脱却
第95回
二つの鉄道事故に学ぶ
第94回
歩道橋について考える
第93回
死亡事故の減りにくい部分
第92回
交通違反の悪質性
第91回
見える化
第90回
ハインリッヒの法則の逆読み
第89回
カクテルパーティー効果
第88回
指差し称呼
第87回
コミュニケーション・ミス
第86回
企業とゾンビ族
第85回
ハイブリッド
第84回
「運転技能」について
第83回
金魚のフン
第82回
5回のなぜなぜ
第81回
天井板崩落事故に学ぶ
第80回
荷役事故と交通事故
第79回
安全管理の格付け
第78回
交通KYTの限界
第77回
中小企業と安全管理
第76回
高年齢者の再雇用問題と企業リスク
第75回
「ハザード」の持つ意味
第74回
仮眠と過労
第73回
ハンドルを握る重み
第72回
厳しくなるメンタルヘルス対策
第71回
事故防止のために事業主は何をすべきか
第70回
多発するトレーラー事故〜プロドライバーの資質を問う
第69回
交通での安全マネジメント
第68回
「ゼロ」の持つ意味
第67回
スウェーデンとアルコール
第66回
北欧・コペンハーゲンの自転車道
第65回
無事故が続いていたら...
第64回
社会のスピード
第63回
国際運転免許
第62回
モラルハザード
第61回
コードンラインは不要だったか? ―首都圏での二次災害の可能性―
第60回
稲叢(いなむら)の火 ―防災の伝承を考える―
第59回
スイスチーズの大きな穴
第58回
外国人観光客と冬道事故
第57回
アビイ・ロードの横断歩道
第56回
安全そして安心を目指せ「運転代行業」
第55回
"不死鳥"の帰還
第54回
目先のリスク回避 ―バスの転落事故から―
第53回
ある学者の死を悼む
第52回
氷河急行の事故
第51回
企業も頑張っている!
第50回
うどん文化と運転
第49回
100円ライターのリスク
第48回
カルガモ走行
第47回
事業仕分け人
第46回
お客様目線
第45回
青矢印信号の謎
第44回
「安・近・短」のわな─グアムでの印象
第43回
120万という数字
第42回
加賀屋さんにみるCSR
第41回
「安全力」をアップしよう
第40回
「まぁ、いっか」の発想
第39回
元を質(ただ)す
第38回
ランドマーク
第37回
誤探知
第36回
持続可能性
第35回
認知ギャップ
第34回
「パーおじいさん」のこと
第33回
40年の功と罪
第32回
キャリーバッグと事故
第31回
KYTの落とし穴
第30回
ゲリラ化する災害
第29回
エスキモーと白
第28回
マニュアルにないもの
第27回
あっ、カエルが跳び出すよ!
第26回
経年劣化
第25回
我輩は「ジコ」である
第24回
タイタニック症候群
第23回
感覚の研ぎ澄まし
第22回
若い世代と安全管理
第21回
近づくもの・遠ざかるもの
第20回
自己防衛の殻を破る
第19回
トップの厳しい目
第18回
逆転の発想
第17回
ベトナムとヘルメット
第16回
心のサーモスタット
第15回
地図の効用
第14回
左か右か
第13回
銃社会のジレンマ
第12回
はい作業とは
第11回
ロータリー的発想
第10回
図と地の関係
第09回
安全の文化
第08回
飲酒運転とJカーブ
第07回
視覚公害
第06回
イタリアとリスク
第05回
ボルボが似合った男
第04回
自転車の勘違い
第03回
脳のサボリ装置
第02回
おかしなアナウンス
第01回
転倒リスク

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