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2017年4月17日

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2017年4月17日

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2017年1月 6日

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最終更新日:2017年5月23日

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交通安全時評

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安全運転管理 あれこれ記 その33 40年の功と罪
交通リスクコンサルタント 小林 實

ハード先行

 昨2008年の交通事故による年間の死者数が、2007年よりさらに589人少ない5,155人となったことが新聞で報じられました。この数字が過去最高だったのは1970年(昭和45年)のことで、16,765人にも達し、それから約40年近くたった現在、5,000人台にまで減少したわけです。これは、ある意味でわが国の安全対策が功を奏した結果だといえるでしょう。総理大臣在任時の小泉さんが2003年に「今後10年間をめどに、日本を道路交通に関して世界一の安全な国にする」と公約したことも、あながち夢ではなくなってきました。しかし、統計という数字の上で死者数5,000人を達成したからといって、真の安心・安全は確保できたといえるでしょうか。新聞では、その一方で、悪質な運転も目立ってきていることを指摘しています。厳罰化の効果は出ているものの、法の無視を平然と行うドライバーも目立ってきています。
 確かに、「歩車分離」をはじめとする国の対策はそれなりに効果がありました。ハード先行の安全対策は、目に見える結果が出やすく、予算の獲得に際し有利な条件となり、これがある意味で即効性とうまくマッチしたといえます(安全教育といったようなソフト面での対策はその効果が見えにくいのです)。なかでも、歩車分離という物理的な隔離政策が功を奏してか、歩行者の犠牲は激減しました。しかしながら、いわゆる官主導型の安全対策は、“民は国の安全対策にただ目をつぶって従えばよい、安全とは政府の仕事だ”という発想を国民に定着させました。それは、国民から「自分の命は自分で護るのだ」といった意識、さらには「自ら考える、疑う」というスタンスを奪うことにもなりました。
 昔から言われ続けているように、交通事故の処理のやり方は、“責任の追及”がまずありきであり、“原因の追究”は副産物でしかない─という発想がいまだに続いています。法の遵守を金科玉条とする行政のスタンスは、ましてや、マナーや態度というものを概念的にとらえてしまう危険性をはらんでいます。

諸刃の剣

 今から8年前の朝日新聞の社説に、「死者さえ減れば、でなく」というタイトルで以下のように書かれたものがあります。「1970年の死者16,000人を受けて安全対策の基本法が制定され、それなりの効果をもたらしたことも事実だが、これまでの基本計画では交通事故による死者数を減らすことだけを目標としてきた印象が強い。安全対策は、死者の抑制と同義語であったといっても過言ではない。膨大な死傷者に対する危機意識を欠いたまま車社会は膨張を続けている」。さらに、こう結んでいます。「私たちが求める利便性とそのもたらす危険性。このふたつを勘案しながら、あるべき車社会を選び取っていきたい」と。
 “のどもと過ぎれば熱さ忘れる”ということわざの通り、特に日本人は、大きな出来事があっても次第に記憶から抜けてしまう傾向があります。JR西日本で起きた福知山線の大事故にしても、もう過去の出来事として記憶されているにすぎません。つまり、こうした負の遺産が将来の糧とはなりにくい、ことに、被害が拡大しにくい交通事故は、その傾向が強いのではないでしょうか。“諸刃の剣”という言葉がありますが、これは「外刃の威力を享受することに甘えて、内刃の脅威に手を抜いていると、あるとき突然危機にさらされる」ということですが、車のもつ利便性と危険性とのあいだの関係は、まさにそれを指しています。われわれ人間は、便益のためには限度内にある危険を受忍するのが常ですが、問題は、この危険に対する認識が希薄になったこと、さらに、その感度は個人差があまりにも大きい─ということです。

「安心」と「安全」とが乖離

 「功罪」という言葉がありますが、官の力で交通事故死をこれほどまでに減少させたことは、まさに大きな“功績”であるわけですが、他方、その主役である交通参加者の自律の意識を喪失させてしまったことは、ある意味で“罪”とはいえないでしょうか。死者数が年間5,000人に減少したからといって、40年前に比べて本当に安心してハンドルを握り、道路を横断できるでしょうか。これは5,000人という数字のマジックに踊らされているにすぎません。まだ「安心」と「安全」とが乖離している点は問題ではないでしょうか。
 人々のマナーや意識の向上が安全運転に反映され、それが結果として事故減少の原動力となったと新聞に報じられるのはいつのことでしょうか。

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第131回
タイヤ以外、何に触れても事故である
第130回
現場の声を聞く
第129回
運転の自動化とドライバー
第128回
人類は変化を続けている
第127回
眼の動きを捉える
第126回
プロアクティブな安全管理
第125回
次世代に向けた安全管理
第124回
思い込みの心理
第123回
これからの交通社会は?
第122回
レジリエントな発想
第121回
レジリエンスと安全管理
第120回
トンネルのリスク
第119回
突然死のリスク
第118回
バスの暴走
第117回
オアフ島と交通渋滞
第116回
安全管理八策
第115回
安全の費用対効果
第114回
交差点での安全運転
第113回
自転車事故と保険
第112回
感電のリスク
第111回
「安全神話」は崩壊したか?
第110回
新人教育のヒント
第109回
自動運転を考える
第108回
再び問われるメンタルヘルス
第107回
ハイタクと安全管理
第106回
何を認知するのか?
第105回
交通安全標語の変遷
第104回
なぜゴリラは見落とされるのか
第103回
10年後の交通を読む
第102回
若者との接し方 指導教官の話から
第101回
若者とクルマ離れ
第100回
異常気象と安全運転管理
第99回
どうする物損事故
第98回
ミラーの効用
第97回
「ハザード」の捉え方
第96回
「手術なき医学」からの脱却
第95回
二つの鉄道事故に学ぶ
第94回
歩道橋について考える
第93回
死亡事故の減りにくい部分
第92回
交通違反の悪質性
第91回
見える化
第90回
ハインリッヒの法則の逆読み
第89回
カクテルパーティー効果
第88回
指差し称呼
第87回
コミュニケーション・ミス
第86回
企業とゾンビ族
第85回
ハイブリッド
第84回
「運転技能」について
第83回
金魚のフン
第82回
5回のなぜなぜ
第81回
天井板崩落事故に学ぶ
第80回
荷役事故と交通事故
第79回
安全管理の格付け
第78回
交通KYTの限界
第77回
中小企業と安全管理
第76回
高年齢者の再雇用問題と企業リスク
第75回
「ハザード」の持つ意味
第74回
仮眠と過労
第73回
ハンドルを握る重み
第72回
厳しくなるメンタルヘルス対策
第71回
事故防止のために事業主は何をすべきか
第70回
多発するトレーラー事故〜プロドライバーの資質を問う
第69回
交通での安全マネジメント
第68回
「ゼロ」の持つ意味
第67回
スウェーデンとアルコール
第66回
北欧・コペンハーゲンの自転車道
第65回
無事故が続いていたら...
第64回
社会のスピード
第63回
国際運転免許
第62回
モラルハザード
第61回
コードンラインは不要だったか? ―首都圏での二次災害の可能性―
第60回
稲叢(いなむら)の火 ―防災の伝承を考える―
第59回
スイスチーズの大きな穴
第58回
外国人観光客と冬道事故
第57回
アビイ・ロードの横断歩道
第56回
安全そして安心を目指せ「運転代行業」
第55回
"不死鳥"の帰還
第54回
目先のリスク回避 ―バスの転落事故から―
第53回
ある学者の死を悼む
第52回
氷河急行の事故
第51回
企業も頑張っている!
第50回
うどん文化と運転
第49回
100円ライターのリスク
第48回
カルガモ走行
第47回
事業仕分け人
第46回
お客様目線
第45回
青矢印信号の謎
第44回
「安・近・短」のわな─グアムでの印象
第43回
120万という数字
第42回
加賀屋さんにみるCSR
第41回
「安全力」をアップしよう
第40回
「まぁ、いっか」の発想
第39回
元を質(ただ)す
第38回
ランドマーク
第37回
誤探知
第36回
持続可能性
第35回
認知ギャップ
第34回
「パーおじいさん」のこと
第33回
40年の功と罪
第32回
キャリーバッグと事故
第31回
KYTの落とし穴
第30回
ゲリラ化する災害
第29回
エスキモーと白
第28回
マニュアルにないもの
第27回
あっ、カエルが跳び出すよ!
第26回
経年劣化
第25回
我輩は「ジコ」である
第24回
タイタニック症候群
第23回
感覚の研ぎ澄まし
第22回
若い世代と安全管理
第21回
近づくもの・遠ざかるもの
第20回
自己防衛の殻を破る
第19回
トップの厳しい目
第18回
逆転の発想
第17回
ベトナムとヘルメット
第16回
心のサーモスタット
第15回
地図の効用
第14回
左か右か
第13回
銃社会のジレンマ
第12回
はい作業とは
第11回
ロータリー的発想
第10回
図と地の関係
第09回
安全の文化
第08回
飲酒運転とJカーブ
第07回
視覚公害
第06回
イタリアとリスク
第05回
ボルボが似合った男
第04回
自転車の勘違い
第03回
脳のサボリ装置
第02回
おかしなアナウンス
第01回
転倒リスク

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